理化孊研究所(理研)は11月19日、新星の玄1000倍の明るさで突発的に光る倩䜓珟象「キロノバ」ず同時発生する「ガンマ線バヌスト」が、人類史䞊最長の“宇宙のものさし”、぀たり宇宙の距離を枬る「暙準光源」ずしお有効であるこずを発芋したず発衚した。

同成果は、理研数理創造プログラムのマリア・ダむノッティ䞊玚研究員、同・長瀧重博副プログラムディレクタヌ、ポヌランド・ダゲロニアン倧孊 物理・倩文・応甚蚈算孊科のアレクサンダヌ・レナルト孊郚生、䌊・フェデリコ2䞖・ナポリ倧孊物理孊科のゞョセップ・サラチ―ノ博士課皋孊生、サルバトヌレ・カポチ゚ッロ教授、メキシコ囜立自治倧孊 倩文孊科のニシム・フレむゞャ教授らの囜際共同研究チヌムによるもの。詳现は、倩䜓物理孊雑誌「The Astrophysical Jounal」に日本時間11月26日にオンラむン掲茉される予定だ。

宇宙では、遠方の倩䜓になるほど、正確な距離を枬るのが難しくなる。倩の川銀河に属しおいおも、地球から離れた倩䜓になるず地球の公転を利甚した䞉角枬量ができなくなり、距離の幅が出おくる。たしお系倖銀河ずもなるず、さらに蚈枬は難しくなるのはいうたでもない。

そうした遠方の銀河たでの距離は、珟圚の倩文孊では、癜色矮星が起こす爆発珟象の「Ia型超新星」など、暙準光源ず呌ばれるいく぀かの皮類の倩䜓(倩䜓珟象)を利甚しお距離が芋積もられおいる。その仕組みは、暙準光源の倩䜓は絶察光床(真の明るさ)がわかっおおり、たた宇宙のどこであっおもほが同じ明るさで茝くこずから、遠方であればあるほど暗いずいうこずが成り立぀。぀たり、芋かけの明るさが真の明るさよりもどれだけ暗いかによっお、距離を蚈算するこずができるのである。

しかし、Ia型超新星も芳枬できる距離の限界がある。およそ110億光幎が最遠ずされ、そこからさらに先ずなるず、地䞊にしろ宇宙にしろ珟圚の望遠鏡の感床ではIa型超新星を暙準光源ずしお利甚できなくなっおしたう(それ以䞊の遠方にあるずされる銀河は、赀方偏移の床合いを甚いお算出されおいる)。

そこで泚目されおいるのが、ガンマ線バヌストだ。同珟象は、突然倧量のガンマ線が攟射される、宇宙で最も明るい倩䜓珟象のひず぀だ。その゚ネルギヌは非垞に匷力であり、その数秒の茝きだけで倪陜が䞀生の間に攟出するのず同等の゚ネルギヌが攟出されるこずなどが理解されおいる。

このガンマ線バヌストは、110億光幎以䞊先の、Ia型超新星が暙準光源ずしお利甚できない超遠方でも芳枬されおいるこずが倧きなポむントだ。぀たり、同珟象を新たな暙準光源ずしお利甚できれば、人類は宇宙を枬定する「最長のものさし」を手に入れられるこずになり、110億光幎よりも先のより初期の宇宙たでの正確な距離を枬れるようになる。宇宙の進化を理解するのにも倧きく圹立぀ず期埅されおいるのである。

ただしガンマ線バヌストは、暙準光源ずしお利甚するには課題もある。同珟象は1967幎に初めお芳枬され、珟圚ではNASAのニヌル・ゲヌレルス・スりィフト(旧称「スりィフト」)衛星のようなガンマ線バヌスト芳枬衛星たで打ち䞊げお研究が進められおいるが、倚くの謎が残されたたただからだ。

ガンマ線バヌストには、継続時間が10秒皋床の長時間型ず、1秒皋床の短時間型があり、長時間型は非垞に倧きな恒星の爆発、短時間型は䞭性子星などのふた぀のコンパクトな倩䜓の合䜓ずする仮説が唱えらおいるが、結論は出おいない。そのほか、ブラックホヌル、高速回転する匷磁堎䞭性子星など、さたざたな説が唱えられおいる。謎が倚く残っおいる理由は、突発的か぀短時間に起きる珟象であり、たたほが単発の珟象であるこずから、芳枬が容易ではないこずが倧きい。

そしお、謎倚きガンマ線バヌストに関連するず考えられおいるのが、これもたた突発倩䜓珟象であるキロノバだ。こちらは可芖光や赀倖線で芳枬される突発倩䜓珟象で、新星(ノバ)の玄1000倍の明るさに達するこずから、キロノバず呌ばれる。

同珟象は、䞭性子星のような超高密床倩䜓同士が合䜓した埌の爆発により生じ、その際には短時間ガンマ線バヌストが生じるず考えられおいる。実際、2017幎8月17日には、連星䞭性子合䜓に䌎う重力波ず短時間ガンマ線バヌスト、そしおキロノバがほが同時に怜出され、そこからガンマ線バヌストずキロノバを関連付けた研究が本栌化した。

ガンマ線バヌストでは、ガンマ線の攟射(即時攟射)が消えた埌に、X線の残光が残る(残光攟射)堎合がある。この特城は、すべおの同珟象に共通しおいるわけではないが、同珟象を耇数のグルヌプに分類した堎合、いずれかのグルヌプに普遍的な特城であれば、条件を満たしたガンマ線バヌストの䞀郚を暙準光源ぞず導くカギずなる可胜性があるずいう。

2016幎、ダむノッティ䞊玚研究員らは、ニヌル・ゲヌレルス・スりィフト衛星で芳枬された183個のガンマ線バヌストを解析。「X線残光プラトヌフェヌズの継続時間」、「X線残光プラトヌフェヌズ終了時のX線光床」、「即時攟射䞭におけるガンマ線光床」を3軞に取った3次元物理空間に同珟象の物理量のプロットが行われ、デヌタがひず぀の平面に集たるずいう法則を明らかにした。

ダむノッティ䞊玚研究員らはこの平面に察しお「ガンマ線バヌストの基本平面」ず呜名し、この法則を甚いるず絶察光床を求められるこずから、同珟象を暙準光源ずしお䜿甚できる可胜性が倧きく高たったずした。

なお補足するず、ガンマ線ずX線は波長による明確な区分はなく(X線よりもさらに波長が短いものをガンマ線ずする傟向はある)、原子栞内郚起源であるものがガンマ線、それ以倖のものがX線ずしお区別されおいる(゚ネルギヌが同じなら区別を぀けられない)。ただし倩文孊では若干捉え方が異なり、゚ネルギヌ的にX線よりもガンマ線の方が高いずいう䜍眮付けがほが確定しおいる。

ガンマ線の波長はおおよそ1兆分の1以䞋で、X線は1兆分の11億分の1皋床。゚ネルギヌ的にはガンマ線は100侇eV以䞊、X線はおおよそ100䞇100eVずされおいる。高゚ネルギヌ倩文孊は可芖光や赀倖線、電波などず比べるず芳枬が技術的に難しい。その䞭でも、比范的芳枬しやすい゚ネルギヌの䜎い領域をX線ずしお扱うようにしたようである。

そしお今回の研究に話を戻すず、さらにガンマ線バヌストのサンプル数を増やし、ニヌル・ゲヌレルス・スりィフト衛星で芳枬された372個のデヌタが掻甚された。同珟象の特定のグルヌプが、基本平面からどの皋床ズレおいるのかの詳现な解析が実斜された。

その結果、「キロノバず同時発生する短時間ガンマ線バヌスト」は短時間ガンマ線バヌストの基本平面からのズレが小さく、か぀基本平面の䞋偎に分垃するこずが刀明。その䞀方で、キロノバを䌎わない短時間ガンマ線バヌストはズレが倧きく、基本平面の䞊䞋に分垃するこずがわかった。キロノバず同時発生する短時間ガンマ線バヌストのズレは、キロノバを䌎わない短時間ガンマ線バヌストに比べお29も小さく抑えられおいたのである。

  • キロノバ

    3次元物理量空間における短時間ガンマ線バヌストの分垃。X線残光プラトヌフェヌズの継続時間(T*x)、X線残光プラトヌフェヌズ終了時のX線光床(Lx)、即時攟射䞭におけるガンマ線光床(Lpeak)を3軞に取った3次元物理空間のグラフ。ニヌル・ゲヌレルス・スりィフト衛星によっお芳枬された、キロノバず同時発生する短時間ガンマ線バヌスト(8むベント)が黄色で、キロノバを䌎わない短時間ガンマ線バヌスト(35むベント)が赀色でプロットされおいる。キロノバず同時発生する短時間ガンマ線バヌストは、短時間ガンマ線バヌスト基本平面(灰色)からのズレが小さく、か぀すべおが基本平面の䞋偎にあるこずが芋お取れる (出所:理研Webサむト)

さらに、さたざたなガンマ線バヌストのグルヌプの䞭で、キロノバず同時発生する短時間ガンマ線バヌストのグルヌプは、基本平面からのズレが最も小さいこずも確認された。これらの結果は、キロノバず同時発生する短時間ガンマ線バヌストが暙準光源ずしお優れた性質を持぀こずを瀺しおいるずいう。

さらに、ガンマ線バヌストの宇宙論的進化(同珟象が瀺す物理量が宇宙幎霢ずずもに芏則的に倉化しおいる可胜性)やサンプルの遞択バむアスを考慮した堎合でも、キロノバず同時発生する短時間ガンマ線バヌストは、短時間ガンマ線バヌストの基本平面からのズレが非垞に小さいこずも解明された。この補正が小さいこずからも、キロノバず同時発生する短時間ガンマ線バヌストは暙準光源ずしお非垞に良い特性を備えおいるずいえるずした。

  • キロノバ

    補正埌の短時間ガンマ線バヌスト基本平面からのズレを衚すヒストグラム。ガンマ線バヌストの宇宙論的進化やサンプルの遞択バむアスを考慮した䞊で、キロノバず同時発生するガンマ線バヌスト(å·Š)およびキロノバを䌎わない短時間ガンマ線バヌスト(右)のむベント数、それぞれの短時間ガンマ線バヌスト基本平面からの距離が瀺されおいる。キロノバず同時発生するガンマ線バヌストの方が、短時間ガンマ線バヌスト基本平面からのずれが小さいこずがわかる (出所:理研Webサむト)

キロノバず同時発生するガンマ線バヌストを距離指暙に䜿甚するこずの倧きな利点は、同珟象のほかのグルヌプず比范しお、物理的メカニズムをより明確に理解できる点だずいう。䞊述した2017幎8月27日の連星䞭性子星合䜓では、重力波ずガンマ線のほかにも、可芖光、赀倖線、電波など、マルチメッセンゞャヌで同時芳枬された。それにより、同むベントがたさにふた぀の䞭性子星が合䜓しお起こった珟象であり、その結果ずしお短時間ガンマ線バヌストずキロノバが匕き起こされたこずが明らかずなったのである。

今埌、さらに詳现な理論研究や远加芳枬により、キロノバず同時発生するガンマ線バヌストの物理的メカニズムが明らかになるこずが期埅され、今回の研究の経隓則に物理的基盀が䞎えられるず考えられるずしおいる。

今回の研究成果は、ガンマ線バヌストずいう人類史䞊最長の宇宙の距離を枬定する"ものさし"が実珟可胜であるこずを瀺したものだ。このものさしは、遠方宇宙のより正確な芳枬はもちろん、宇宙そのものの進化を理解する䞊で重芁な圹割を果たすこずになるずいう。぀たり、ガンマ線バヌストを甚いた宇宙論が開拓される可胜性があり、今埌、同珟象を甚いおダヌク゚ネルギヌやダヌクマタヌに関する゚ネルギヌ密床の掚定できる可胜性たであるずしおいる。