NECは、2020年9月14日に、アナリストを対象にオンラインで開催した「NEC IR Day 2020」において、アビームコンサルティングとの連携によるDX事業への取り組みについて説明した。

アビームコンサルティングとは

アビームコンサルティングは、NECグループの1社で、2019年度の売上高は932億円、従業員数は6646人、アジアを中心に13の国と地域に29拠点を展開。提携パートナーは36の国と地域、76拠点に広がっている。約2割を海外売上げが占めるという。

全業界、全業務領域をカバーし、戦略立案からプロセス変革、システム構築、運用までを提供。経営診断、戦略立案、M&A、アライアンスなどの「マネジメントコンサルティング」、業務改革、組織改革、アウトソーシングなどの「ビジネスプロセス コンサルティング」、IT戦略、企画立案、システム開発、パッケージ導入、保守などの「ITコンサルティング」が主要な事業の柱となっている。

  • アビームコンサルティング概要

2020年4月には、日本IBMの常務執行役員や、マーサージャパンの代表取締役社長を経て、NECシニアコーポレートエグゼクティブに就任していた鴨居達哉が、同社の社長に就任している

NEC 執行役員常務兼CDOの石井力氏は、「2004年にNECと戦略資本提携を行ったときのアビームコンサルティングの売上高は約274億円、従業員数は約2000人。現在では、売上高で3.4倍、従業員数は3.3倍になっている。2015年度以降の年平均成長率は9.1%と高い水準を維持し、業界のなかでも高い成長率を誇る企業となっている」と説明。

  • NEC 執行役員常務兼CDOの石井力氏

  • アビームコンサルティングの成長の軌跡

「2004年には、ERPを中心とした企業の基幹システムの導入がアビームコンサルティングの提供価値であったが、現在は、日系多国籍企業をグローバルに支援し、トータルなデジタル変革を支援する総合コンサルティングファームに進化。ERPに加えて、変革マネジメントにより事業の幅を広げている。2025年に向けては、日系企業だけでなく、グローバルに展開するアジアのトップ企業のDXパートナーになることを目指している」とした。

  • アビームコンサルティングの今後の方向性

アビームコンサルティングの最大の価値

アビームコンサルティングの最大の提供価値にあげたのが「人材」だ。

「2018年度および2019年度の2年間で、約1600人の社員が純増している。調査では、教育研修に熱心な企業として、国内で2位にランクされている。優秀な人材が集まってくる理由のひとつが、徹底的な働き方改革を進めている点である。働き方改革などでは、経済産業省などからも評価されている」とした。

また、SAP認定コンサルタントの資格取得数は日本国内で第1位であり、3920人という規模は、2位に約2000人の差をつけて圧倒的な数となっていることにも触れ、「SAPにおけるアビームコンサルティングの強さは際立っている。いまは、ERPの更新需要が旺盛であり、そこに実装力を持つNECのリソースを活用することで、さらにオポチュニティが高まる」などとした。

アビームコンサルティングが手掛ける具体的なユースケースも示してみせた。

ERPの強みを生かしたグローバル経営基盤の構築では、三井物産が、1万を超える業務プロセスの標準化を行い、世界規模での導入および展開を行ったほか、DXにおけるエコシステムの形成では、東京海上日動が、衛星画像やSNSなどのデータ解析をAIで行い、保険金支払いの迅速化を実現。ここにスタートアップ企業とのエコシステムを活用したという。データドリブン経営では、エーザイの事例を紹介。非財務情報の顕在化による企業価値のさらなる向上を実現。ESGという観点からも貢献することができたという。