3つのの強化ポイント

NECの石井執行役員常務は、アビームコンサルティングの今後の強化ポイントとして、3つの要素をあげた。

ひとつは、エンド・トゥ・エンドのデジタル変革を支援する「ABeam DXエコシステム」の拡充だ。「デジタル時代はテクノロジーが重要になる。テクノロジーを持った先端技術企業との資本提携も模索しながら、ソリューションデザインやアーキテクト力の強化を図ることになる」とする。

2つめは、新たなグローバルモデルを支える「アジア発のグローバルコンサルティング会社としての差別化」である。

「今後は、アジア各国において、コンサルティングの市場が伸びていくとみている。だが、欧米のコンサルティングファームは、まだアジア市場にはリーチしていない。日本で培ったナレッジを生かしながら、アジアの企業にフォーカスし、欧米のコンサルティングファームとの差別化を図りたい」とする。

そして、3つめが、提供価値の深化と幅を高めるための「人材ポートフォリオの多様化」である。ここでは、ストラテジーとITの専門性を持つコンサルタントの拡充や強化、ソリューションを拡大する多様な能力を持つ人材の育成、獲得に取り組むという。

NECグループのDX戦略についても

その一方、NECグループのDX戦略についても説明した。

「ニューノーマルの世界となり、人の移動や働き方、暮らし方など、人それぞれに価値観が変わり、それに対応するためにパーソナライズ化が進むことになる。また、遠隔医療や遠隔授業などが、都市部だけでなく地方でも公平に実現できるようになるなど、社会の変化に対応していくことが求められる。こうした人の変化、社会の変化に伴って、NECは、DX実現に向けて、5つのテーマに取り組んでいくことになる」とした。

  • NECグループのDX戦略

リアルとデジタルを融合したワークスタイル変革を行う「Remote」、デジタルの接点による場所や時間にとらわれないサービス、体験の提供を行う「Online」、衛生的で安心感を与える生活様式を実現する「Touchless」、人が本質的な力を発揮するための効率化、自動化を行う「Automation」、社会の透明性と信頼性を兼ね備えたデジタル技術の活用を行う「Transparency/Trust」である。

「これらは、NECグループが持っているテクノロジーで実現する領域である。これらのテーマから、ライフスタイル、ワークスタイル、ビジネススタイルといった場面でのデジタルシフトを、テクノロジーの力、コンサルティングの力を使って加速させたい」と述べた。

また、社会と暮らしのDXを「NEC Safer Cities」、企業や産業のDX化については、「NEC Value Chain Innovation(VCI)」によって提供することになると定義したほか、これらを支えるベースとなるテクノロジーとして、ネットワークの「NEC Smart Connectivity」、AIの「NEC the WISE」、生体認証の「Bio-IDiom」、セキュリティでは「Cyber Security」を有しており、エンド・トゥ・エンドのケーパビリティとして、コンサルティング、インプリメンテーション、オペレーションの能力を組み合わせて、安全、安心、効率、公平な社会の実現を図る姿勢を強調。

「顧客接点、従業員接点において、高度なイノベーションを起こしていく。NECは、DXの実現に向けて、上流からオファリングの提供までをワンストップのソリューションとして提供していく」とした。

  • NECグループのDXのさらなる加速に向けた取り組み