NECとアビームコンサルティングが共同で取り組むテーマ

NECとアビームコンサルティングが、共同で取り組むテーマとしては、「ビジネスプロセスとテクノロジーの融合による提供価値の高度化」をあげた。

「NECでは、ビジネスプロセスにおいて、構想企画、全体デザインアーキテクチャー、デジタル化領域設定、テクノロジーデザインアーキテクチャー、インプリメント、運用オペレーションといった点で力を持っており、とくに、運用オペレーションは、他のSIerに比べてもNECが強いところである。日本では、5万点を超えるコンピニエンスストアにおいても、1店舗ずつにリーチできるアセット能力、数10万カ所を超える基地局の設置や施工業務に多くの人が携わってきたプロセスの実行、管理の経験もある。そして、プロセスを可視化し、高度化し、デジタルを採用して、人手不足にも対応していくことができる。ここで発生するインシデントを確実に、ナレッジとして蓄えて、分析することで、さらに高度な構想企画につなげることができる」とし、「アビームコンサルティングが持つ力を1とすれば、それを50、100にできる領域を選んで、両社のシナジーを加速したい。NECグループとして持っている力を組み合わせて、レバレッジできる領域を選んで、アビームとの協業を加速したい」とした。

  • ビジネスプロセスとテクノロジーの融合による提供価値の高度化

加えて、アビームコンサルティングのコンサルティング力、コンサルタント育成力と、NEC の技術力、大規模SI力、保守およびBPO力といったケーパビリティを相互補完することによって、NECグループとしての価値の最大化を目指すとし、「NECは、実装や運用が得意であり、2万人を超えるSEや約3000人のフィールドエンジニアを生かす」とした。

  • ケーパビリティの相互補完

また、アビームコンサルティングが持つコンサルタントを育成するメソドロジーをNECに移行させ、大規模な開発な案件やSI案件を行えるNECのメソドロジーをアビームコンサルティングに移転することで、相互にケーパビリティのシナジーを図る姿勢をみせた。

「従来のコンサルティングは、深い専門知識が求められていたが、不確実で、不透明な時代においては、見えていない潜在的な課題や、組織や業界が抱えている見えていない課題をあぶりだす人材の強化が重要になってくる。そうした人材の獲得や育成を期待している」とした。

だが、「そうしたなかでも、アビームコンサルティングは、コンサルティングファームとしての中立性や独立性を担保しなくてはならない」とも述べた。

協業事例としてのセブン-イレブン

NECとアビームコンサルティングの協業事例としては、セブン-イレブンの事例を紹介した。

「セブン-イレブンでは、1000店舗超える新規出店に、数100店以上の閉店、数100店以上の改装があり、常に数1000店舗単位で流動している。また、オペレーションの自動化、効率化のために、1店舗あたり約200台の什器が入っている。2万店あれば、400万台の規模になる。本部から貸与する什器の量も多く、業務プロセスが莫大になっている。これらの業務のデジダル化、効率化を、NECとアビームコンサルティングの連携によって実現した。数100万件超えるアセットのマネジメント、電気を使用する什器の稼働管理、プロセスのアウトソーシングがポイントであり、工数削減やペーパーレス化といった価値に加えて、IoT化による機器の稼働状況の把握や最適化を実現。経済価値だけでなく、環境価値の向上にも貢献できた」という。

  • セブン-イレブンの事例

さらに、今後の取り組みとして、5G化の進展によるモバイルネットワークの基地局設置に向けても両社の連携が活かされることを示した。ここでは、コンサルティングからインプリメンテーション、オペレーションメンテナンスまで一貫したサービスを提供。さらに、これらの業務から得られるデータを収集し、分析し、高度化することで、さらにコンサルティングにつなげるといった仕組みを構築するという。

また、Society 5.0の実現に向けて、ニューノーマル時代のサスティナブルな社会を支えるエコシステムを形成したいとし、「コロナ禍において、日本のデジタル化の遅れが顕在化し、6月には、スーパーシティ法が制定され、各省庁から多くの交付金が用意されている。だが、ここではランニングコストには交付金がつかない。そこで、都市のプロセスの最適化に着目し、そこにアビームコンサルティングが持つケーパビリティを使って、業種や業態を超えた新たなエコシステムの形成、都市経営の最適化を目指す」などとした。

今後の取り組み

今後の両社による取り組みとして、アビームコンサルティングによる「デジタル変革の上流アセット」と、NECの「デジタル技術」の融合により、デジタルプロセスイノベーションを実現。「NECグループとしてのケーパビリティを最大化し、ニユーノーマル社会における社会や企業の課題を、構想から実装、定着までエンド・トゥ・エンドで解決する」といった方針のほか、NECグループをあげたリソースシナジーや人材獲得、育成への積極投資によって「顧客価値の最大化実現に向け、多様な人材への積極投資を実行」する方針に加え、課題先進国である日本において、コンサルティングの力、テクノロジーの力で課題を解決するとともに、日本発で、アジアからグローバルへ社会ソリューションを展開することで、「Society5.0実現への貢献を通した、競争力の強化とグローバル展開」という方向性も示した。

  • NECとアビームコンサルティングによるSociety5.0実現