ソニーは2020年5月13日、2019年度(2020年3月期)通期決算を発表した。それによると通期の連結売上高は、前年度比5%減の8兆2599億円、営業利益は同5%減の8455億円、純利益は同36%減の5822億円で、減収減益となった。

事業全体でみると減収減益だが、CMOSイメージセンサを中心としたイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)事業単体でみると、前年度比22%増の1兆706億円(このうちイメージセンサの売上高は9302億円)、営業利益は同64%増の2356億円の増収増益となった。スマートフォン(スマホ)を中心とするモバイル機器向けの出荷が伸びたことや、製品ミックスの改善(大判で高付加価値な製品へのシフトの加速や新製品の投入)などに支えられ、当初の予想を上回る1兆円超の売り上げを同事業として初めて記録した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、同社は全社の営業利益が682億円ほど押し下げられたと試算しているが、I&SS事業でも、顧客の工場の操業停止などによる需要減から営業利益が84億円ほど減少したと試算している。

2019年度第4四半期(2020年1~3月期)の半導体生産能力は、月産約12万3000枚(3カ月平均値)とフル生産の状況で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けなかったという。同社では2020年度第1四半期中に月産約13万3000枚(同)へ生産能力を増やす見込みというが、新型コロナウイルスの影響で顧客のモバイル機器メーカー側に在庫が溜まっている可能性があるため、状況によっては生産調整もありうるという。

ソニーは、産業機器向けに5μm画素のSWIR(短波長赤外)イメージセンサを発表するなど、今後、車載を含めて産業分野における高付加価値ビジネスを拡大していく意向を示している。これは、いずれ多眼化競争に終止符が打たれるスマホ市場の次をどうするか、という方向性であり、同社は着々と準備を進めているといえるだろう。

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    2019年度のソニーのイメージセンサ業績とその要因分析 (出所:ソニー業績発表資料)

なお、半導体市場動向調査会社のIC Insightsによると、2019年のCMOSイメージセンサ市場は、前年比30%増の148億ドルに達した。イメージセンサ市場全体でも同26%増の198億ドルとなっており、半導体市場や非IC(イメージセンサを含むオプトエレクトロニクス、センサ、ディスクリート)市場がマイナス成長の中で驚異的な成長を遂げている分野となっている。