ルネサス エレクトロニクスとAustralian Semiconductor Technology(ASTC)ならびにASTCの子会社であるVLAB Worksは、ルネサスの車載情報・ADAS用SoC「R-Car V3M」をPC上に再現し、組み込みソフトウェアをPCのみで開発できる仮想環境「VLAB/IMP-TASimulator」を共同開発したと発表した。この仮想環境は、ルネサスが2017年4月に発表した「Renesas autonomy」コンセプトに基づく一連のソリューションの1つとなる。

ADASシステム開発に仮想環境を導入

「VLAB/IMP-TASimulator」構成

具体的には、ASTC独自の仮想化技術である「VLAB」が対象のハードウェアをPC上に正確に再現することで、これまでハードウェアを使って開発していた組み込みソフトウェアを、PCのみで開発することを可能にする。この仮想環境の上で、開発者はハードウェアの動作を隅々まで確認・制御することが可能なため、ソフトウェアの不具合も効率的に検出することができ、品質の高いソフトウェアを従来の半分以下の期間で開発できるようになるという。

同仮想環境では、「IMP-X5」の64スレッド並列プロセッサをPC上に再現する。マルチスレッドプログラミング専用のC言語で作成されたソフトウェアのステップ実行、ブレーク、変数参照などのデバッグが可能であり、この仮想環境を使用しない場合と比べてIMP-X5向けソフトウェアの開発期間を削減することができるとしている。

また、「タイミング相関型シミュレーション」を搭載し、IMP-X5のキャッシュ、バス、プロセッサおよびその他機能ブロックの複雑なタイミング動作のモデル化にあたり、ハードウェア動作の主要なタイミングを正確に把握・反映し、効率的なシミュレーションが可能となる。これにより、ハードウェアの処理時間見積もりで一般的に使用されるサイクルベースシミュレータと比較して100倍以上高速に実行できるとのことだ。

なお、同仮想環境は、ASTCおよびVLAB Worksが2018年1月~3月期から提供を開始する予定としている。