東京大学生産技術研究所の藤岡洋教授は6月7日、金属フォイル上にフレキシブルLEDディスプレーを作成する技術を開発したことを発表した。

(a)フレキシブル窒化物LED(b)M発行の様子

これまで無機半導体を用いた発光ダイオード(LED)は、高価なサファイア等の単結晶版の上に、MOCVD法と呼ばれる生産性の低い手法で形成されていたため価格が高く、主に細かく切ってパッケージに入れたLED素子として利用されていた。また、従来、窒化物半導体のLEDでは紫外域から青色、緑色までの光は発行するが、赤色で発光するものの作製は困難とされていた。

同研究所では、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業「ACCEL」の支援を受けて、スパッタリング法と呼ばれる生産性の高い創造方法で窒化物半導体のLEDを作成する技術を開発してきた。今回、藤岡教授らは、半導体形成時の温度を下げることにより、安価で自由に曲げることが可能な金属フォイルの基板上に、青、緑、赤の3現職のLEDを作成することに成功したという。

本技術により、安価な金属フォイル上に信頼性の高いフルカラーディスプレイを実現でき、フレキシブルディスプレーも作成可能になるという。さらに、通信機能を備えたディスプレーなどへの展開も期待される。