Texas Instruments(TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、車載の48Vと12Vのデュアル・バッテリ・システム間で一相あたり500Wを超える電力を高効率で変換・伝送する高集積マルチフェーズ双方向DC/DC電流コントローラ製品「LM5170-Q1」を発表した。

ハイブリッド電気自動車(HEV)は高電圧の48Vバッテリと標準的な12Vの車載バッテリを併用するが、通常、設計技術者は、これら2種類のバッテリ・システムを電流センス・アンプ、ゲート・ドライバや保護回路などのディスクリート部品で構成されたデジタル制御手法で制御している。そのため、システムとして大型かつ高コストという課題があった。同製品は、そうした課題の解決に向けて開発されたもので、マイコンが高レベルの知的な管理を行いつつ、高集積アナログ・コントローラが電力変換機能を提供することで、部品点数の削減とシステムの小型化、低コスト化などを実現するという。

具体的には、双方向電流安定化機能は1%の精度を提供するため、精密な電力伝送を実現することが可能。また、97%超の電力変換効率、ならびに最大99%の確度での電流モニタも提供するという。さらに、5A(peak)の複数のハーフブリッジ・ゲート・ドライバを集積することで、高電力に対応したほか、同期整流MOSFETのダイオード・エミュレーション・モードにより、負極性電流の防止ならびに軽負荷時の変換効率向上を実現したとする。

なお、同製品はすでに9mm×9mmの48ピンQFPパッケージで供給されており、1000個受注時の単価(参考価格)は5.84ドルとなっている。

高集積マルチフェーズ双方向DC/DC電流コントローラ製品「LM5170-Q1」のパッケージイメージ