GEヘルスケア・ジャパン(GEヘルスケア)は10月28日、乳房用X線診断装置(マンモグラフィ)「Senographe Pristina」を販売開始したと発表した。

2013年に発表されたOECDの調査結果によると、日本における乳がん検診の受診率は36.4%となっており、受診率50%を超えている欧米諸国と比較して低い状況にある。乳がん検診をはじめとする乳腺診療の入り口ともいえるマンモグラフィ検査が敬遠される理由のひとつに、「痛み」がある。この痛みは、乳房を圧迫する際に感じるものだけでなく、検査時に機器に押し付けられる腋下や腹部に対して感じる人も多いという。

同製品は、このような患者の痛みや不快感を軽減することを目指して開発されたものだ。同社の代表取締役社長 川上潤氏は「製品開発には世界200人以上のエンジニア、デザイナーおよびエルゴノミスト(人間工学の専門家)を投入し、患者からみて怖くないデザイン・形状になるよう注意をして開発していった」とする。

乳房用X線診断装置「Senographe Pristina」。受診者の緊張を和らげるため、柔らかなLEDの光が採用されている

また、実際にフランスでの開発会議に参加したという聖路加国際病院放射線科の診療放射線技師 小山智美氏が「欧米人とアジア人では乳房の特徴が異なる。従来の装置は欧米人向けのものだったが、今回はアジア人向けの装置にしてくれたな、という印象」というように、アジア人女性の比較的小さめな乳房にも配慮された形となっている。

具体的には、検査の際、ブッキー(撮影台)に載せた乳房を引き伸ばして前に出す必要があるが、小さめな乳房の場合、このときにブッキーの角が助骨に当たることで痛みを感じてしまうという課題があったという。そこで同製品では、従来品に比べてブッキーの厚みを減らし、角に丸みを持たせることで痛みの軽減を実現している。

従来品の圧迫板とブッキー

Senographe Pristinaのブッキー。従来より薄く、角が丸くなっている

また、受診者が撮影中に手をそえるアームレストや、顔の位置を固定するフェイスシールドにより、リラックスした体勢で検査を受けることが可能。

アームレストに手を置いてリラックスした姿勢で検査を受けられる

小山氏の提案によりフェイスシールドも丸みを帯びた形となっている

また、より良い画質で撮影するために、技師にとってはポジショニングが重要となる。同製品では、技師が患者をケアしつつベストなポジションで撮影できるよう、ディテクタ後方部には広いワーキングスペースが確保されており、またMLOポジショニング(内外斜位方向の撮影)の際には、管球部分をパーキング位置へ移動させることにより、無理のない姿勢でのポジショニングが可能となっている。

MLOポジショニングでの検査のデモンストレーション

車椅子の患者でもMLOポジショニングで無理なく撮影することができる

さらに、乳房の大きさによって選択可能な圧迫板や、3D(デジタル・ブレスト・トモシンセシス)の機能がオプションとして用意されている。なお同製品は、島津製作所との日本国内におけるマンモグラフィの販売提携に基づき、GEヘルスケアおよび島津製作所の両社より販売されるという。

同時発売となるマンモグラフィ用画像診断ワークステーション「SenoIris」。GE製3D機能で撮影されたトモシンセシスプロジェクションデータより、従来のマンモグラフィで得られる2D画像に近い画像を再構成することも可能