大日本印刷(以下、DNP)は11日、有機ELディスプレイを活用した業務用デジタルサイネージの販売を本年10月より開始すると発表。発売に先駆け、LGエレクトロニクス・ジャパン(以下、LG)と共同で大型デジタルサイネージ「DNP マルチサイネージ トールビジョン 有機EL曲面タイプ」を、DNP五反田ビル内ショールームに導入した。

「DNP マルチサイネージ トールビジョン 有機EL曲面タイプ」。大型商業施設やショールーム、公共交通機関、オフィスビルのエントランスなどへの導入を見込んでいるとのこと。一般公開展示ではなく、商談スペースへ設置される

「DNP マルチサイネージ トールビジョン 有機EL曲面タイプ」は、曲面の55インチ有機ELディスプレイを24面並べて設置したもので、4面を1セットとして6セットを組み合わせている。有機ELディスプレイ自体を曲げてアーチ形状としており、視聴者が包み込まれるような空間演出を行う。有機ELディスプレイは非常に薄型・軽量のため、今回のように曲げる、あるいは天井からつるすなど、液晶では難しかった利用シーンでの導入が考えられる。

有機ELディスプレイは曲げることができるほか、横からのぞき込んでも色が変化しない

有機ELで再現される黒色は、DNPによれば「印刷会社の目から見ても完璧な『黒』」(左)、今回はお披露目された大型デジタルサイネージの製品仕様。サイズは約225型(55型×24面)、解像度が横7680×縦6480(1面横1920×縦1080)、アスペクト比は外郭基準　32:27(1面16:9)、映像表示領域寸法が4920mm×4231mm×25mm(1面　1230mm×705×25mm)

この規模の有機ELデジタルサイネージの導入は、LGエレクトロニクス・ジャパンにとって日本初とのこと。ただし、有機ELデジタルサイネージの国内展開において、LGグループがDNPとの独占契約を結んだということではないと語られた。

このディスプレイでは、「京都・文化遺産アーカイブプロジェクト」4K特別映像および8K映像「京 春夏秋冬」、そしてフランス国立図書館所蔵の地球儀・天球儀の3Dデジタルアーカイブデータより制作した超高解像度映像が上映された

大日本印刷 デジタルサイネージ推進本部 本部長 閑郁文氏は、「DNP マルチサイネージ トールビジョン 有機EL曲面タイプ」の導入価格について、10月に販売するめどが立った段階で正式発表するとしながら、パネルのみで液晶を用いた従来品から３～4倍程度と語った。また、同製品は用途に応じた形状変更も可能なもので、それによっても価格は変動するとのこと。

大日本印刷 常務取締役 北島元治氏(左)、LGエレクトロニクス・ジャパン 代表取締役社長 李仁奎氏(右)

大日本印刷 デジタルサイネージ推進本部 本部長 閑郁文氏

DNPはこれまでも企業のデジタルサイネージ導入を総合的に支援するサービスを展開しており、この製品により同事業のサービスを拡充する狙いだ。導入から運用、効果測定までを包括的にサービス提供する一方、有機ELディスプレイに適した映像コンテンツの制作・販売も実施。同製品とコンテンツ、関連サービスで2019年度までに20億円の売り上げを目指す。