SCIEXは11月5日、Xシリーズ 質量分析プラットフォームの第一弾モデルとなる「X500R QTOF System(X500R)」を発表した。

X500Rは、食品の残留農薬分析やカビ毒、食中毒、アレルゲン、食品添加物などのルーチン検査に用いることを想定されて開発されたQ-TOF型(Quadrupole Time-of-Flight:四重極飛行時間型)のHRMS(High-Resolution MS:精密質量分析器)で、SCIEX 代表取締役 南湖淳氏は「プラットフォームを一から作り直し、これまでにない改造を行った。特に、食品業界で質量分析器を使われている方々のニーズを聞き、装置からソフトウェアまでをトータルで提供したもの」と説明する。

X500R QTOF

従来、HRMSを利用するのは研究所などが多く、食品業界などのルーチン分野のユーザーにとっては、機能自体が複雑で分析しづらい、定量と定性が両立しない、ソフトウェアが使いづらい、結果が曖昧でわかりづらいなどといった問題があったという。こういった課題を解決し、日常的に利用できるようにしたHRMSがX500Rということになる。

同製品はN型のイオンミラーを採用することにより、110×57×112cmといったコンパクトな大きさでかつ、感度・精度・安定性を向上させている。また、4mm径のTOF管前オリフィスにより、より多くのイオンを検出できるようになっている。これはSCIEX製品のなかでも最大の大きさだという。このほか、加温式でTOF管の温度を制御する機能や、感度・堅牢性に優れたイオンソースが採用されている。

X500Rの詳細

また、X500Rを含むXシリーズは、エンドユーザー特有のニーズに焦点を当てたデザインとなっており、単一のシンプルなユーザーインターフェースを使用して、データの取得から結果の処理とレビュー、レポート作成までのすべてを遂行することが可能となっている。

X500Rは来年から販売開始予定で、価格は未定だという。