東京工業大学と早稲田大学は8月25日、共同研究プロジェクトにおいて早稲田大学 地球物質科学研究室の清水連太郎氏および小笠原義秀 教授によって発見された、ダイヤモンドを含む電気石が新鉱物「学名:maruyamaite (日本語名:丸山電気石)」として国際鉱物学連合に承認されたと発表した。

ダイヤモンドと共存する電気石は、世界で初の発見で、共同研究プロジェクトのリーダーであった東京工業大学地球研究所の丸山茂徳 教授にちなんで命名されたという。同成果は2014年6月に国際科学誌「Mineralogical Magazine」に掲載された。

電気石とはケイ酸塩鉱物のグループ名で、結晶を加熱すると帯電するためこう呼ばれる。今回発見された丸山電気石は、カザフスタン北部のコクチェタフ超高圧変成帯から採取された、約5億年前に形成された岩石から発見された。この岩石には約20%程度の電気石が含まれており、その中に微小なダイヤモンドが見つかったという。

このダイヤモンドを含む電気石を調査したところ、他に類を見ない多量のカリウムを含んでいることが判明。岩石中の電気石は結晶の中心から外側に向かってカリウム含有量が減少していく構造をしており、カリウムを主成分とし、ダイヤモンドを含む中心部分が丸山電気石として認定された。

(A)丸山電気石の顕微鏡写真。赤い破線で囲まれた部分が丸山電気石。(B)電気石のカリウム元素マッピング結果。暖色系の部分ほどカリウムが多く含まれる。(C)丸山電気石に含まれるダイヤモンドの顕微鏡写真。10μmと非常に細粒。

ダイヤモンドは高圧条件下でのみ安定であり、地下約120km以深という条件化で形成される。一方、電気石のカリウムが少ない部分には同じ炭素化合物でも低圧条件で安定なグラファイトが含まれていた。これらの事実は丸山電気石が地下120km以上の深さで形成され、その後地表に上昇してくる途中でカリウムに乏しい電気石が丸山電気石の周囲に成長したことを意味する。

これらの事実と、電気石の形成には地表に集まるホウ素が必須であることから、丸山電気石は地球表層からマントル深部へホウ素を運搬する役割を担っていると考えられ、地球内部の物質の様子やその循環の解明に向けて重要な手がかりとなるという。