Cypress Semiconductorは、5GbpsのSuperSpeed規格においてUSB-IFの認定を受けたUSB 3.0ハブコントローラ「EZ-USB HX3ファミリ」を発表した。

同ファミリは、ホストが無くてもデバイスの充電を可能とする「Ghost Charging機能」を備えているほか、「USB-IF Battery Charging v1.2」およびAppleデバイスの充電にも対応している。

また、「Accessory Charger Adaptor Dock(ACA-Dock) 機能」も搭載。USB On-The-Go(OTG)ホストを活用することで、クライアント側からホスト側への充電ができるようになる。

HX3を用いることで、ホストからクライアントへの充電以外の充電方法を提供することが可能となる

さらに、同社の独自技術であるI/Oの拡張技術「Shared Link」を活用することで、1つのポートをUSB 3.0のポートとUSB 2.0のポートの2つに分けることが可能。これにより、最大4ポートながら最大で8つのI/Oとして活用することが可能となるほか、カスケードに同製品同士をつなげてやることでポート数をさらに増やすことも可能だ。

「Shared Link」の概要。1つのUSB 3.0 Downstream(DS)ポートからUSB 3.0とUSB 2.0のポートを分けて出すことができる(その場合USB 3.0は内部接続としての利用となる。また、USB 2.0はUSB 2.0固定での利用となる)

USB 2.0とUSB 3.0の信号はアップストリーム/ダウンストリームともに独立しているため、信号だけを見るともとより分けられそうではあるが、実は極一部、USB 2.0とUSB 3.0の切り分けが難しい箇所があり、普通に分けただけでは混在した状態になってしまう。そこで同社ではハードウェア技術とファームウェア技術を活用することで混在しない環境を実現したことで、こうした切り分けをできるようにしたとする。

左と中央はデモボード(4ポート+Shared Linkによる2ポート)のうち5つにUSB機器をつなげた様子。USBコネクタの上部にShared Linkと書かれており、その下にUSB 3.0もしくは2.0と書かれている。右は同じDS1のポートのUSB 3.0と2.0のコネクタ。1つのポートを2つに分けている様子を物理的に見て取れる

この技術を活用すると、組込機器で、USBのバスを用いたシステムがあれば、同製品を拠点に色々なデバイスをUSB経由で接続することが可能になるため、PCI ExpressからほかのI/Oを経由するためにドライバを別途開発して、といった開発の手間を省くことが可能となる。

EZ-USB HX3の概要

なお、同ファミリはすでに量産出荷を開始している。パッケージはGIOPのピン数に応じ、68ピンQFNか88ピンQFNの2種類、製品そのものは2ポート品もしくは4ポート品(Shared Linkポートを含めると6ポート/8ポート)で、合計8製品がラインアップされている。

EZ-USB HX3の製品ラインアップ

また評価ボードもShared Link、 ACA-Dockなしの最小構成品「CY4609」が69.99ドル、同じくShared Link、 ACA-Dockの機能はないが、各ポートごとの電力制御が可能な「CY4603」が99.99ドル、そしてすべての機能が利用可能な「CY4613」が124.99ドルとなっている。

評価キットは用途に応じて3種類を用意

同ファミリについて同社日本法人である日本サイプレスでは、「社内での評価をかなりの時間をかけて行ってきており、ホストチップとの兼ね合いやOSとの相性、癖のあるデバイスでも動作できるか、なとを独自に調査してきており、そうしたコンプライアンステストを経て提供することで、顧客が手元で行う評価時間を短縮する手助けが可能となっている」とし、主に国内では内部バスがPCI/PCIeで、その下にUSBをつなげているようなデバイスに対し、ダイレクトにUSB 3.0につなぎ変えてやる手助けを図っていくことで、採用実績を増やしていければとコメントしている。