本田技研工業(ホンダ)は5月28日、「(リズム)歩行アシスト」(画像1)の実用性の検証を目的に、歩行リハビリテーションに取り組む病院を対象に、モニター使用として歩行アシスト100台を有償で貸し出することを発表した。

画像1。歩行アシスト。シンプルなシステムなので、軽く、装着しやすいが確実に歩くのが楽になる

ホンダは、「より多くの人に移動する喜びを提案する」ことを目的として、1999年から歩行アシスト(以前は、リズム歩行アシストといった)の研究を続けてきた。歩行アシストはASIMOと同様に、人の歩行研究の蓄積をベースに開発された「協調制御技術」が採用されており、歩行時の股関節角度センサの情報を基に制御コンピュータがモータを駆動することで、左右の足の振り出しと蹴り出しのタイミングの対称性を改善すると共に、歩幅の拡大を促し、より楽な歩行を可能とするアシスト装置である。

また、ホンダが独自開発した薄型モータと制御システムや、シンプルなベルト着用式が採用されていることで、小型化を実現し、かつ総重量を2.6kg以下にまで軽量化することに成功している。それにより、装着時の負担を軽減すると共にさまざまな体格に合わせることが可能だ。

これまで、医療法人や企業、研究機関と共に歩行アシストの研究を行ってきており、歩行訓練者や理学療法士、医師および研究者から、歩行訓練者のリハビリテーションにおける歩行アシストの有効性や適合性について一定の効果を認めるフィードバックを得られたとする。

これまでは、7つの病院において、歩行アシストを用いたリハビリテーションの共同研究が行われてきたが、さらなる製品の使いやすさや機能の強化を図っていくべく、今回は病院を対象に広くモニターを募って100台(50セット)を貸し出すことで、実務の現場からさまざまな意見を集約していくとした。なお、Mサイズ1台とLサイズ1台の50セットが用意されており、1病院につき1セットの貸し出し、50の病院でのモニター使用を実施する形だ。

ちなみに、歩行アシストを実際に記者が試してみた時の感想だが、記者は生涯があるほどではないが、若干腰の骨のバランスなどが歪んでおり(そのためかなりひどい腰痛を患った)、そのために左右の足の振り出しなどに気をつけないとわからないレベルだが若干差がある。しかし、装着すると自分の歩き方のバランスが悪いことを実感でき、しかもとても楽になるのが実感できた。展示会などで何時間も歩く時は必ず装着したいと思ったほどなので、お年寄りや障害のある方なら、もっとその恩恵にあずかれることだろう(画像2)。

画像2。装着して歩行中のイメージ。歩くのが苦手な人でも、歩きやすくなるはずだ

今回の歩行アシストのモニター使用を開始、あるいは予定している病院は、現在のところは以下の通り。

  • 医療法人社団幸隆会 多摩丘陵病院
  • 社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団 兵庫県立リハビリテーション中央病院
  • 社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団 横浜市総合リハビリテーションセンター
  • 医療法人真正会 霞ヶ関南病院
  • 医療法人社団光仁会 第一病院
  • 社会医療法人社団熊本丸田会 熊本リハビリテーション病院
  • 一般財団法人竹田健康財団 竹田綜合病院
  • 社会医療法人財団慈泉会 相澤病院

歩行アシストのスペックは以下の通りだ。

  • 腰フレームサイズ:M(腰幅340mm)、L(腰幅380mm)
  • 重量:2.6kg以下(バッテリー含む)
  • 一充電稼働時間:60分以上
  • バッテリー:リチウムイオン電池、22.2V-1Ah
  • 使用場所:屋内または屋外(雨天を除く)の平地
  • 保管温度範囲:-20℃~55℃
  • 使用温度範囲0℃~30℃
  • 使用湿度範囲30%~85%