積水ハウスと本田技研工業(ホンダ)は4月22日、高齢社会を迎えた日本において、人々が生涯を通じて自宅で豊かな生活を送れるような住まいの機能を創造していくために、パーソナルモビリティ「UNI-CUB(ユニカブ)」(画像1・2)や「体重支持型歩行アシスト」(画像3・4)といったホンダのヒューマノイドロボット研究から生まれたロボティクス技術の住宅内における可能性を共同で検証していくと発表した。

画像1。パーソナルモビリティのUNI-CUB。現在、日本科学未来館でも公共の大型施設での利用を目的とした実証試験が実施されている

画像2。UNI-CUBは思う以上にコンパクトなので、一般的な家屋の中でも意外と普通に使用できそう

画像3。体重支持型歩行アシスト。歩くイスに体重を預けながら移動するようなイメージ

画像4。現在はホンダの工場でも使用されており、こうしたかなりかがむような無理な姿勢で作業しても、従業員が腰を痛めにくい

積水ハウスは、誰もが「いつも今が快適」と感じながら暮らせる住環境の創造を目指す「生涯住宅思想」をもって、40年近い年月、人間工学や生活工学に基づいたユニバーサルデザイン(UD)の研究を行っている。最先端の技術を開発する研究者と一般生活者が、ともに住まいのあり方を考える研究開発拠点「総合住宅研究所」(京都府木津川市)を1990年に開設したり、スマートハウスやスマートタウンの開発にも業界に先駆けて取り組んだりするなど、快適な住環境に関する研究・開発に余念がない。

一方のホンダは、新しい製品の創造や技術の進化にチャレンジを続けており、またASIMOに代表されるようにロボティクス技術の研究・開発を行っているのは、説明するまでもなく世界的に認知された事実だ。そうしたASIMOをはじめとするロボティクス研究は、現在は1986年に設立された子会社の本田技術研究所の「基礎技術研究センター」で進められている。

同センターにおける現在の研究・開発の対象は、ASIMOのほか、脚力が低下した人の歩行をサポートする「リズム歩行アシスト」、体重の一部を機器が支えることで脚にかかる負担を低減する「体重支持型歩行アシスト」、前後左右や斜めへの自由自在な動きをコンパクトな一輪車スタイルで実現したパーソナルモビリティの「U3-X」や「UNI-CUB」などだ。なお、UNI-CUBに関しては、筆者も日本科学未来館で乗る機会を得られたので、興味のある方はコチラをご覧いただきたい。

今回の共同検証は、積水ハウスが、4月26日に開業する「グランフロント大阪」内の知的エンターテイメント空間「ナレッジキャピタル」内に開設する情報発信・研究開発拠点「SUMUFUMULAB(住ムフムラボ)」や、前述の総合住宅研究所において推進されていくことになる(画像5)。

画像5。ロボティクス技術も活用するスマートハウスのイメージ

具体的には、「UNI-CUB」や「体重支持型歩行アシスト」などを用いて、ロボティクス技術を居住空間でどのように活かせるか、検証と評価が行われていく形だ。その成果は定期的に発信される予定で、両者は「共創」することでロボティクス技術の住宅内での実用化に向けたプロセスの加速を目指すという。

また両者は人の暮らしを豊かにするという共通理念のもと、双方の強みを活かした豊かなスマートハウスの実現に向けて、エネルギーの地産地消への取り組みも行い、生涯を通じて暮らしを支える住まいの新たな機能を創造していく予定だ。

今後はロボティクス技術を用いた新築・既築住宅における歩行などの動作支援を主としたQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上を目指し、スマートコミュニティにおける生活者の安心と、快適な移動と生活を実現する技術実証や協業ビジネスモデルの確立を目指していくとしている。