NECは1月29日、カーボンナノチューブ(CNT)の一種である「カーボンナノホーン」の販売を開始したことを発表した。

カーボンナノホーンは、1998年に同社の飯島澄男 特別主席研究員らのグループが発見したもので、直径2~5nm、長さ40~50nmの形状を持ち、数千本集まり直径100nm程度の球形の集合体を形成しており、単位質量当たりの表面積が広く、開孔した場合は約5倍の表面積となるほか、分散しやすく、導電率が高いといったさまざまな特性を有しているため、蓄電を行うキャパシタ、圧力や電力でスイッチのオンオフを行うなどの機能を持たせるアクチュエータ、燃料電池などのエネルギー関連から、薬物輸送(ドラッグデリバリシステム:DDS)といった医療関連まで幅広い分野へ適用できる素材として期待されている。

特に医療関連では、生成過程で金属触媒を利用しないことから、金属不純物が含有されておらず、これまでの種々の動物実験や細胞実験では短期での毒性が確認されていないため、周囲にある細胞や組織に悪影響を及ぼさない安全なドラッグキャリアとして期待されている。

同社では室温、常圧環境下において、シンプルな製造法である「レーザアブレーション法」を用いて、カーボンナノホーンを製造するため、製造方法が複雑なほかのナノカーボン素材に比べ低コストでの生産が可能とするほか、純度95%の高純度カーボンナノホーンを1日1kg以上製造するために必要な技術と装置の稼働実証に成功しており、今後、同素材を国内外の企業、大学、研究機関などに拡販するとともに共同で用途開拓を進めることで、今後3年間で20の企業・団体への提供を目指すとしている。

カーボンナノホーンのイメージ図