筑波大学は、クロララクニオン藻「Bigelowiella natans(ビゲロウィエラ・ナタンス)」とクリプト藻「Guillardia theta(グィラルディア・セータ)」の核ゲノムの全塩基配列の解読・解析に成功したと発表した。

同成果は同大 生命環境系の石田健一郎 教授らのグループが、カナダDalhousie Universityのアーチボルト教授らを中心とする国際共同研究プロジェクトに参画する形で行われたもので、詳細は科学誌「Nature」に掲載された。

クロララクニオン藻とクリプト藻は、それぞれ真核藻類である緑藻と紅藻を細胞内共生(2次共生)させることで葉緑体を獲得して"植物化"した、起源の異なる2次植物。この2つの藻は、細胞内共生によって葉緑体となった共生藻の縮小した核(ヌクレオモルフ:Nm)と若干の細胞質(葉緑体周縁区画:PPC)を今でも葉緑体の周縁部に保持していることから、2次共生による葉緑体の獲得と進化の解明における興味深い存在として知られており、研究グループが今回、ゲノムの解読を進めていた。

今回の解読の結果、2つの藻のゲノムサイズは、ビゲロウィエラが約95Mbp(メガベースペア)、グィラルディアが87Mbpで、それぞれ2万1000個、2万8000個以上の遺伝子をコードしていることが明らかとなった。また、いずれの遺伝子もイントロンが豊富で、特にクロララクニオン藻では、1つの遺伝子から複数種のタンパク質を作り出すことを可能となるオルタナティブスプライシングを行う遺伝子が単細胞生物としては非常に多いことが見出された。

さらに、ゲノム中にある藻類由来の遺伝子のすべてが必ずしも葉緑体で働くタンパク質の遺伝子では限らないことを見出したほか、それらの遺伝子は葉緑体の祖先となった共生藻に由来するものだけではなく、ほかの藻類に由来する遺伝子も多く存在していることが確認されており、この結果、この2つの藻の核ゲノムは、さまざまな生物由来の遺伝子で構成された「モザイク状」のゲノムであることが確認されたという。

なお研究グループは、この2つの藻類は、捕食性の原生生物が真核藻類を細胞内共生させることにより葉緑体を獲得し、植物化したと考えられており、今回の解析結果が、その仕組みの解明につながるものになるものとなるとコメントしている。

「Bigelowiella natans(ビゲロウィエラ・ナタンス)のSEM画像(出所:Department of Energy Joint Genome Institute)

「Guillardia theta(グィラルディア・セータ)」のSEM画像(出所:Department of Energy Joint Genome Institute)