宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月13日、2010年6月に地球に帰還したはやぶさのカプセルのB室部分を開封したことを明らかにした。また、併せて11月末頃にB室移行前にA室をひっくり返してトントンと叩いて落ちてきて発見された数百個の粒子のうち、20個程度を電子顕微鏡にて調査したことも明らかにした。

B室が開封されたのは12月7日。イトカワ着地時間が短かったA室に比べ、着地時間が長かったためある程度の大きさの粒子が入っていることが期待されていたB室だが、「見た感じA室と同様。肉眼で確認できたものはなかった」(JAXA 技術参与の向井利典氏)とのことで、「B室はA室よりも期待できるという話もあったが、そういうドラスティックな状況ではない」(同)とした。

開封されたB室の概要

今後、A室を開封したのと同様、光学顕微鏡でのチェックを行う予定だが、構造がA室に比べて複雑なため、隅々まで見ることが難しいとのことで、今後、詳細な調査方法を検討していくとしており、場合によっては、A室同様、ひっくり返して叩くといった手法も考えるとしている。

一方、最終的に叩いた結果、数百個の粒子が確認されたA室だが、現在はその粒子を電子顕微鏡にかけるための作業を行っている。現在、20個程度の粒子を電子顕微鏡にかけ、「半分程度は岩石質。そのほかはカプセル材質であるアルミの切削くずなどと見られる」(向井氏)という。ただし、この岩石質については、最小サイズで30μm程度、大きなもので100μm程度、平均サイズで50~70μm程度と大きいものの、イトカワのものかどうかはまだ未確定であり、「今後のほかの粒子との統計比較などを踏まえて、判断していく」(同)としており、A室の分析を進める計画。

なお、初期分析のスケジュールなどについては、B室の方にどの程度の粒子が含まれているか、などを踏まえたうえで判断する予定で、A室の分析と平行してB室の粒子の存在確認を進め、「なんとか年内に、初期分析のスケジュール決定のめどをつけたい」(同)という希望を示している。