LSIが6Gbps SASテクノロジーを活用したハイパフォーマンスSATA+SASホストバス・アダプタ(HBA)製品「LSI SAS 9200シリーズ HBA」を発表したことは既報のとおりであるが、同製品について、同社Senior Manager, Worldwide Channel MarketingであるSuresh Panikar氏と同Engenio Storage GroupのWorldwide Channel Sales&Marketing DirectorであるBrent Blanchard氏に話を聞く機会をいただいたので、その詳細をレポートしたい。

「LSI SAS 9200-8e」を持つLSI Senior Manager, Worldwide Channel MarketingであるSuresh Panikar氏(右)と「LSI SAS 9211-8i」を持つ同Engenio Storage GroupのWorldwide Channel Sales&Marketing DirectorであるBrent Blanchard氏(左)

チャネルでの存在感向上を狙うLSI

同製品の同社での位置付けについて、Panikar氏は「LSIの方向性として今後、チャネル(小売店など)に注力することを目指している。そのためにはチャネルにおける存在感の向上を図っていく必要がある。9200シリーズは、そういった意味では、柱になる製品シリーズ」と説明する。

同HBAは、同社の6Gbps対応製品の第2弾となる位置づけで、内部4ポート品「LSI SAS 9211-4i」、内部8ポート品「LSI SAS 9211-8i」、外部8ポート品「LSI SAS 9200-8e」の3種類がラインナップ。これらの製品についてPanikar氏は、「ポイントはパフォーマンスと拡張性」と語り、これらの製品を活用することで、さまざまな分野で6Gbpsを体験することができるようになることを強調する。

「LSI SAS 9211-8i」

「LSI SAS 9211-4i」

「LSI SAS 9211-8i」

また、RAID0/1/1E/10に対応するほか、512台のSATA+SASデバイスが接続可能で、外付けRAIDとJBODエンクロージャを利用する場合では1PBまでのストレージ容量ニーズに対応可能だが、512台対応させるためにセルフディスカバリ機能を搭載、ボード側で現在何台つながっているかを自動的に認識することができるため、オーバヘッドを最小化することにより、パフォーマンスの低下を抑制することができるという特長を持つ。

LSIの提供する6Gbps SATA+SAS HBAの製品概要

データセンタやビデオのイメージング処理、医療機器など大容量データの高速処理が要求される分野が主な市場と同社では見ているが、「常に最新の製品については、チャネルに出していくことが我々のコミットメントだ」(同)と、チャネルを念頭に置くビジネスを推進していくことを強調する。

チャネルでは使い勝手の良さなども求められることから、「ユーザインタフェースは既存の管理ソフトであるMegaRAID Storage Manager(MSM)を活用することが可能」(同)としており、新たな操作などの習得を不要にすることで、ユーザ側の負担軽減を図っている。

管理ツールである「MSM」を活用することで、管理の容易化を実現することが可能となる

また、仮想化やSAS/SATA+SSDなどの新たな活用方法も、デモ可能なものなど各種開発が進められており、チャネルから要求があれば順次提供していきたいとしている。

HBAがサポートしているOS

このほか、同HBAにはSSD活用という意味では、「SSDスマートガード」という機能が搭載されている。これは、主にRAIDと組み合わせて活用されることが想定されているが、そうしたアプリにおいてHBAがスマート情報を確認、例えば4台のSSDが存在している状態で、その内1台が故障しそうな状況を感知し、メンテナンス要員に交換要求を出し、新たに1台を追加させると、そちらに自動的に故障が起きそうなSSDからデータを移行することができるというもの。電源が入っている状態でも実行可能であり、常時稼動のシステムでも活用することができる。

Panikar氏は、「日本地域では、動画作成やエンコード、医療機器などに加え、クラウドの動きも追い風になるだろう。教育関係や研究機関での活用も考えられる」としながらも、チャネルについては、「顧客ニーズありきだ。ニーズにあった製品を提供していくことを考えている。どういった分野とはまだ具体的には明かせないが、ニーズを我々に伝えてくれれば、検討案件の1つとして扱いたいと思っている」と、より顧客に近い立場での製品展開を行っていくことを強くアピールする。

また、新たに日本法人のカントリーマネージャー/代表取締役に就任した迫間幸介氏とも連携を強化することで、「日本のチャネルの声を聞いていきたい。そして、その声を本社として吸い上げ、日本のニーズに見合った製品やサポートとして提供していければ」と期待を寄せる。

同社は「我々はチップからボード、システムまですべてを所有しているのが強み。そうした意味でも、もっとも信頼されるビルディングサプライヤになりたいと考えているし、シェアトップという立場を鑑みれば、適切なレベルのサポートを提供できる立場にあるともいえる。そして、競合メーカー各社は、我々ほど包括的なポートフォリオを有していない。こうした専門性をチャネルでも提供していくことで、LSIという企業を広く認識してもらいたい」(Blanchard氏)と、チャネルへの展開強化には並々ならぬ決意を見せており、2010年には多くの製品を展開していくことを予定している。

「我々は少なくとも第1四半期に1つずつ製品を出していくことを計画している。そうした意味では来年の我々の動きを注目してもらいたい」(同)と、チャネルのユーザーニーズに見合った新製品を提供していくことで、より使い勝手の高いアプリケーションの実現に結び付けられればとの期待を述べてくれた。