2018年2月28日~3月2日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている、新エネルギーに関するさまざまな製品や技術などを扱う展示会「スマートエネルギーWeek 2018」においてブラザー工業は、2月22日に発表したばかりの燃料電池「BFC4-5000-DC380V」(出力4.4kWモデル)などの紹介を行っている

FC4-5000-DC380Vは、「気液分離」構造と水素循環システムを採用することで、水素貯蔵タンクに蓄えられている水素のうち99%をセルスタックにて反応させることを可能とした高効率燃料電池。固体高分子(PEFC)方式を採用することで、高い応答性なども実現しているほか、同方式は燃料電池自動車(FCV)などでも採用されているため、FCVの台数が増加して部品コストが低下すれば、価格を下げる、といったことも可能となり、さらなる普及を見込むことができるといった特徴がある。

  • ブラザー工業の燃料電池「BFC4-5000-DC380V」(出力4.4kWモデル)

    ブラザー工業の燃料電池「BFC4-5000-DC380V」(出力4.4kWモデル)。水素の供給方法は、設備を活用するユーザーが決定することになるが、非常用としては吸蔵合金によるカートリッジ(燃料電池の右下にある白い箱に内蔵されている)、常用としては直接供給といった形になることが予想されている

同社は、燃料電池事業を、次世代の成長事業の1つに据えており、さまざまなニーズに応えることを目指した製品の研究開発を進めている。そんな成果の1つが、燃料電池を使用するとオーディオの音質が既存の電源を用いるよりも向上するというもの。日本音響エンジニアリングの「サウンド・ラボ」にて、燃料電池のオーディオ視聴テストを行った結果、純度の高い電力供給により、オーディオ機器が持つ本来の性能を引き出すことが可能になり、クリアなサウンドを体感できたという。

  • オーディオ視聴テストに用いられた燃料電池ユニット
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  • ブラザー工業が参考出品している燃料電池ユニット。白い方がオーディオ視聴テストに用いられたモデルとなる。オーディオ視聴テストの実施者はSound and Zoom代表取締役で、オーディオ評論家の黛健司氏

あくまでこれは、実験的なものだが、燃料電池の普及に向けて同社では、さまざまな市場での活用を模索していくとしており、2018年度中にも第2弾製品の発表を行う予定としている。