2018年2月28日~3月2日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている、新エネルギーに関するさまざまな製品や技術などを扱う展示会「スマートエネルギーWeek 2018」において三菱電機は、仮想発電所(VPP)の実現に向けた実証実験などの紹介や、それを実現するための基盤技術などの紹介を行っている。

VPPは、再生可能エネルギーの発電設備、蓄電池や電気自動車(EV)のような蓄電設備、デマンドレスポンスのような需要家の節電を統合・制御し、1つの発電所であるかのように活用する仕組み。同社が現在進めている実証実験は、主にHEMS向けに、EVやプラグインハイブリッド(PEHV)に搭載されている蓄電池を、移動式分散型エネルギーとして管理するといったもので、そのためのゲートウェイやセキュリティソリューションなども手がけている。

IoTゲートウェイ「smatstar」は、同社が社会・電力インフラ向けIoTプラットフォーム「INFOPRISM」として提供するソリューションの1つに位置づけられるもの。AI(人工知能)を活用して設備の故障の予兆検知などを行うことができることが特徴となっている。また、セキュリティの確保を実現するデータダイオード「MELARROW」も紹介されている。データダイオードは、データをダイオードのように、片方のみの通信に限定することで、クリティカルな運用がされている発電所などに悪意のある攻撃の侵入を防ぐことを可能とするもの。これまでのインフラ関連を扱ってきたエンジニアリングノウハウに基づいて開発されたもので、これらを組み合わせることで、設備停止時間の最小化などを遠隔監視の元、実現できるようになるとしている。

  • 三菱電機の社会・電力インフラ向けIoTゲートウェイ「smatstar」
  • 三菱電機の社会・電力インフラ向けデータダイオード「MELARROW」
  • 三菱電機の社会・電力インフラ向けIoTゲートウェイ「smatstar」と、同データダイオード「MELARROW」

また同社は2017年度から創設された「ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)プランナー」に電機メーカーとして初めて登録時業者として名を連ねており、ZEBの実現に向けたコンサルティング業務などを行っている。すでに2018年1月31日に竣工した白鷺電気工業新本社ビルのZEB化を支援した実績も有しており、同ビルでは、自社の空調、換気、照明、昇降機と中低圧直流配電ネットワークシステム「D-SMiree」に加え、建築工事を行った建吉組による地中熱利用換気システム(ジオパワーシステム)を組み合わせることで、基準一次エネルギー消費量比で51.2%省エネを実現、ZEB Readyを達成したという。

  • 中低圧直流配電ネットワークシステム「D-SMiree」

    中低圧直流配電ネットワークシステム「D-SMiree」を実現する各種ユニット

  • ZEB見える化の管理画面デモ

    ZEB見える化の管理画面デモ

同社では、今後もZEB化を進めたいビルをパートナー各社と協力して増やして行きたいとしており、今後、さらなる省エネ化に向けたさまざまなソリューションなどの実現を図って行きたいとしている。