茨城大学と北海道大学(北大)の両者は3月13日、これまで有機分子のカップリング反応にはほとんど利用されていなかった「銅-ジルコニア固溶体触媒(CuO/t-ZrO2)」が、従来の不均一系銅触媒と比べてカップリング反応を効率的に促進することを初めて明らかにしたと発表した。

また、銅と組み合わせる金属酸化物の種類によって触媒性能が大きく異なり、特に「正方晶ジルコニア」に固溶した銅触媒が高い性能を示したこと、また触媒解析とDFT計算によって、CuO/t-ZrO2には還元されやすい銅のみが含まれていることや、触媒反応を促進する特殊な構造を有していることなどがわかったことも併せて発表された。

同成果は、茨城大大学院 理工学研究科(工学野)の近藤健助教、同・城塚達也助教、北大大学院 工学研究院の多田昌平助教らの共同研究チームによるもの。詳細は、英国王立化学会が刊行する触媒作用に関する全般を扱う学術誌「Catalysis Science & Technology」に掲載された。

銅は、安価で毒性が低くユニークな反応性を示すことから、さまざまな場面で利用されており、有機化学の分野においては試薬や触媒として活躍されている。中でも有機合成化学において、金属酸化物上に銅の微粒子を付着させた「担持銅触媒」が多用されている。担持銅触媒は、非担持銅触媒の酸化銅単体に比べて性能が高くなることがその理由だ。

しかし研究チームは今回、金属酸化物内に銅を分散させた「銅固溶体触媒」の1つであるCuO/t-ZrO2に注目することにしたという。同触媒はCO2の変換反応などに利用され、高い性能が期待されているが、これまでカップリング反応などの精密有機合成反応での利用はなかったとする。

そこで今回の研究では、茨城大の近藤助教らがこれまで行ってきた有機合成化学に関する知見と、北大の多田助教らによって開発されたCuO/t-ZrO2を組み合わせることで、高い触媒性能を示す不均一系銅触媒の実現を試みたとする。さらに、ブラックボックス化しやすい触媒構造やメカニズムを、茨城大の城塚助教らによる計算化学によって解明することも目標とされた。