フレキシブルオフィスを展開するWWJ(以下、WeWork Japan)とソフトバンクは4月23日、WeWork Japanのコミュニティと、ソフトバンクのAIスタートアップ向けの支援プログラム「AI Foundation for Startups」を組み合わせて、AIスタートアップの事業成長を加速させるプロジェクト「AI Foundation Community」を開始することを発表し、都内で記者説明会を開いた。

両社はこのプロジェクトを通して、スタートアップによるAIモデルの開発および検証から、AIを活用したサービスやプロダクトの商用化および事業拡大までワンストップで支援する。

なぜWeWorkとソフトバンクは連携するのか?子会社化で進む「場×AI」の統合

フレキシブルオフィス「WeWork」は、1カ月・1席単位からワークスペースやオフィスを利用できるサービス。国内8都市に約40の拠点を構える。都内で同様のシェアオフィスサービスを展開する主要な17ブランドと比較すると、面積シェアは40%超だという。

ソフトバンクグループと米WeWorkの合弁会社として2017年7月に創業したWeWork Japanは、2024年4月からソフトバンクの100%子会社として事業を運営している。

国内ではこれまでに、DeNAや本田技研工業(ホンダ)、ヤンマーをはじめ、Gunosy、Timee、LayerXなど、アーリーステージからメガベンチャーまで、約1000社のスタートアップが同サービスを利用している。また、最近では札幌市、上越市、小田原市など、自治体の利用も増加しているとのことだ。

  • WeWork利用企業の例

    WeWork利用企業の例

WeWork Japanは単にオフィスやワークスペースをレンタルするだけでなく、企業や個人がつながる機会や空間も提供する。入居企業限定のイベントやビジネスパートナーのマッチングなど、活発なコミュニティ運営も同社の特徴だ。

WeWork Japan CEOの熊谷慶太郎氏は「いよいよソフトバンクグループとしてのシナジーを実装するフェーズになった。個人から大企業までが交流し、AIの社会実装を通じて変革に向けた取り組みを生み出す場としたい」と話していた。

  • WeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷慶太郎氏

    WeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷慶太郎氏

AIスタートアップは何が足りないのか?計算基盤・顧客・資金をまとめて支援

特にAIスタートアップ企業においては、優秀な人材や技術、画期的なアイデアがあっても、学習用の計算基盤やデータ、実証する現場、さらには資金の不足が拡大の障壁となっている。

こうした課題に対しAI Foundation Communityでは、WeWork Japanが構築したコミュニティと、ソフトバンクのAI計算基盤を組み合わせて、AIサービスを開発したいスタートアップの事業成長をサポートする。

ソフトバンクは計算基盤だけでなく営業網なども提供することで、開発検証から商用化、大企業との協業による事業拡大まで、スタートアップの各フェーズを支援するとのことだ。

さらに、AIを活用したサービスやプロダクトの商用化や事業拡大を進める企業に対しては、ソフトバンクによる出資を検討する可能性もあるという。

  • AIスタートアップの課題

    AIスタートアップの課題

WeWork Japanでコミュニティ運営を担当する遊上和義氏は「大企業や自治体を含めたWeWorkユーザーが集まるサロンへの招待とコミュニティ内のマッチング、オープンイノベーションプログラムやビジネスピッチへの優先参加など、WeWork Japanとソフトバンクの両社の強みを活用した支援を行う」と説明していた。

  • WeWork Japan Head of Community 遊上和義氏

    WeWork Japan Head of Community 遊上和義氏

どんな支援が受けられるのか?3段階で事業化を支える仕組み

ソフトバンクはAIスタートアップの事業フェーズやニーズに応じて、3つのプランをAI Foundation Communityに提供する。

初期投資を抑えてAIモデルを構築したい企業には、AI計算基盤を無償でトライアル利用可能な「Start for SU」、開発したモデルの実用性をPoCで検証したい企業には、検証現場を持つ企業とのパートナーシップを構築する「Growth for SU」、モデルや事業を拡大したい企業には、出資や顧客を開拓する「Scale for SU」を、それぞれ用意する。

ソフトバンクでAIの社会実装を進める淺沼邦光氏は「自社だけでAIの社会実装は進められないので、AIスタートアップの皆様と一緒に実現していきたい」と述べていた。

  • ソフトバンク 次世代事業開発本部 本部長 淺沼邦光氏

    ソフトバンク 次世代事業開発本部 本部長 淺沼邦光氏