岡山大学は10月6日、カーボンナノチューブ(CNT)に水溶液を吸着させた後の状態を分光学的に調べ、CNTと水溶液との界面に強酸性の吸着層が形成されていることを発見したと発表した。

同成果は、岡山大 学術研究院 自然科学学域(理)の大久保貴広准教授、同・黒田泰重特命教授、同・大学院 自然科学研究科の中安博基大学院生、同・学術研究院 自然科学学域(理)の武安伸幸准教授、同・大学院 自然科学研究科の竹内祐貴大学院生らの共同研究チームによるもの。詳細は、コロイドおよび界面科学に関する基礎から応用までを学際的に扱う学術誌「Journal of Colloid and Interface Science」に掲載された。

臭い成分の吸着など、古くからさまざまな用途の吸着材として炭素材料が用いられてきた。炭素材料が吸着材としての機能を発揮するためには、におい成分の基となる分子のサイズや、水中に溶存する有害なイオンと同程度のサイズの、物質を吸着するための小さな(ナノ)空間が必要とされている。

しかし、炭素材料のナノ空間中にイオンを含む水溶液(電解質水溶液)が浸透した際、イオンや水がどのように吸着しているのかという基本的な問題は、未解明の部分も多く、もしナノ空間内での水溶液の構造や状態を明らかにすることができれば、優れた吸着材を設計するための指針になることが期待できるとされてきた。

そこで研究チームは今回、市販の単層CNTのナノ空間内にアルカリ金属硝酸塩(硝酸リチウム(LiNO3)、硝酸ナトリウム(NaNO3)、硝酸ルビジウム(RbNO3)、硝酸セシウム(CsNO3))水溶液をそれぞれ浸透させたとき、各イオンがどの程度吸着するのかを検討することにしたという。

そして検討の結果、すべての場合において、各アルカリ金属イオンよりも硝酸イオンの方が多く吸着することが判明したとする。たとえば、LiNO3の場合、リチウムイオンの吸着量の約2倍の硝酸イオンが吸着していたという。