「笑っても泣いても最後のレッドブル・エアレース」

レッドブル広報からも、こんな案内メールが届いた。関係者もファンも、もちろん選手も万感の思いで迎えるレッドブル・エアレース最終戦が9月7日、ついにスタートした。室屋義秀選手は、日本での最終戦で勝利を手にすることができるだろうか。

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強豪2人がリード、千葉でのチャンピオンを狙う

前回、ハンガリーのバラトン湖で開催された第3戦では、マット・ホール選手(オーストラリア)が優勝。日本の室屋選手と同期の親友でもあるホール選手は、昨年の千葉大会の優勝者でもある。バラトン湖での大会後、「日本のファンは素晴らしい。僕がヨシ(室屋選手)に勝ったとしても、みんな祝福してくれると思うよ」と、日本での開催を楽しみにしていた。現在、年間ランキングでは2位だ。

2019年 レッドブル・エアレース レイクバラトン戦後のマット・ホール選手インタビュー

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    レースエアポート入りしたマット・ホール選手(前)とベン・マーフィー選手(後)。予選前日は機体調整のため、インタビュー時間を作ることができなかった

そしてランキングトップは、今年優勝はないものの3戦すべてで上位入賞しているマルティン・ソンカ選手(チェコ)。昨年の年間チャンピオンでもあり、千葉で勝利すればレッドブル・エアレース最終シーズンを歴史的な連覇で飾ることになる。

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    室屋選手の教育プログラム「空ラボ」の子どもたちのインタビューに応じるマルティン・ソンカ選手

「するべきことはすべてやった」 室屋選手の挑戦

室屋選手と首位ソンカ選手の点差は10点。室屋選手が本戦で優勝しても、ソンカ選手が4位以上なら年間チャンピオンはソンカ選手となる。ただ、これは予選の点数を考慮しない場合で、もし室屋選手が予選1位でソンカ選手が4位以下なら、ソンカ選手のチャンピオン防衛は本戦3位以上となる。予選の順位はかなり重要だ。

予選前、室屋選手は「するべきことは昨日までにやった」と淡々とコメント。機体に関しては前回のバラトン湖戦後に新技術の投入には至らず、飛び慣れた前回のセッティングで飛ぶ。

レッドブル・エアレース 2019 最終戦 千葉大会 予選直前の室屋選手

「最終戦が千葉なんてドラマチックですよね。こういう場所で皆さんに集まっていただくのは幸せだなと思っています」と語った室屋選手。やや硬めの表情だったが、写真撮影で「笑顔でお願いします」と声を掛けられると、いつもの笑顔で応じた。

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最後のレッドブル・エアレース、プレッシャーを乗り越えて笑顔で表彰台に立つことこそが、多くのファンの望みだ。

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    エメラルドグリーンの「ファルケンカラー」の室屋機も見納め

最後のレッドブル・エアレースへ、ファンとの交流も

今年はレースエアポートが陸上自衛隊木更津駐屯地に変更されたため、千葉大会恒例のイベントだった、選手との交流イベントが行えなかった。しかし、それを残念がっていたのは選手も一緒。

そんな中、予選前日の6日夕方に木更津市内の公園で、マティアス・ドルダラー選手(ドイツ)が個人的にサイン会を開催した。SNSでの突然の告知にもかかわらず集まった100人弱ほどのファン全員にサインをしたドルダラー選手は「日本のファンは最高だ」と絶賛。Tシャツなどのチームグッズを無料で振舞ったが、「全員分の数が足りなかった。申し訳ない」とうれしい悲鳴を上げていた。

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  • マティアス・ドルダラー選手は個人的にサイン会を開催した。ファンも大喜び

なお、9月8日に予定されている決勝の大会スケジュールだが、台風の接近に伴い、天候が悪化される懸念などもあることから、安全な競技実施を最優先という判断から、時間調整が行われることが公式にアナウンスされている。

それにより、開場時間が午前9時に変更となり、マスタークラスの競技は午前10時~午後13時頃まで実施。閉場が15時となる予定だが、海上自衛隊の曲技飛行チーム「WHITE ARROWS」、水陸両用の「US-2」、千葉市消防航空隊のヘリコプター「おおとり」2機によるデモンストレーションは実施される予定だという。

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  • 「空ラボ」の子どもたちは、室屋選手以外の選手にも英語で果敢にインタビュー