ついにレッドブル・エアレース最後の大会がやってくる。9月7日と8日、千葉県千葉市幕張海浜公園で開催されるレッドブル・エアレース千葉大会は、今年で終了するレッドブル・エアレースのグランド・ファイナルだ。もう二度と見ることのない、世界最高の14人のパイロットたちの最終決戦が始まる。

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レッドブル・エアレース千葉大会ティーザービデオ。12年の歴史に今、幕を下ろす

最後のチャンピオンは誰に?

なんといっても注目が集まるのは、日本の室屋義秀選手。2016、2017年に千葉戦で優勝し、2017年は年間チャンピオンにもなった。今年は千葉戦がシーズン最終戦でもあるため、千葉大会の順位と年間ランキングの順位の両方で表彰台に立つことが期待される。

今シーズンの室屋選手はアブダビ戦(UAE)、カザン戦(ロシア)で連続優勝。年間チャンピオンは堅いかと思われたが、レイク・バラトン戦(ハンガリー)でまさかの初戦敗退を喫し、年間順位を3位に下げてしまった。このため室屋選手は千葉戦で優勝しても、1位のマルティン・ソンカ選手(チェコ)と2位のマット・ホール選手(オーストラリア)が上位入賞すると年間チャンピオンになれないという、厳しい位置にいる。

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    3大会終了時点の上位3選手のプロフィール (c)redbullcontentpool

しかし、他の選手の順位を気にしても仕方がない。室屋選手が目指すのは、この歴史的大会での優勝だ。

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  • 現在上位の3選手。優勝0回ながら常に4位以上に入り続けたソンカ選手がトップ。実力は互角だ (撮影:大貫剛)

レースエアポートは木更津に変更

幕張の大会会場ともうひとつの拠点、レース機の格納庫が置かれるレースエアポート。昨年までは浦安市内に仮設滑走路を整備していたが、隣接してホテルが建設されるなど問題もあった。そこで今年は陸上自衛隊木更津駐屯地がレースエアポートとして使用されることになった。

このため、昨年までは浦安で開催されていたファンとの交流イベント、レースエアポートウォークが、残念ながら今年は開催できなくなってしまった。大会前日の金曜に開催されていたこの無料イベントには多数のファンが詰めかけ、すべての選手が「日本のファンは特別素晴らしい。室屋選手だけでなくすべての選手を応援してくれる」と口を揃えるほど、千葉大会を象徴するイベントだっただけに、大変残念だ。

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  • 例年、多くのファンが詰めかけたレースエアポートウォークが、今年は開催できなくなった (撮影:大貫剛)

3年ぶりのチャレンジャークラス開催!

今年の千葉戦ではレッドブル・エアレースのマイナークラス、チャレンジャークラスの開催も発表された。チャレンジャークラスは2017・2018年は千葉大会で開催されていなかったのだが、最後の大会となる今年は3年ぶりに開催が実現した。

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    チャレンジャークラスの選手は12名。マスタークラス昇格のチャンスは失われてしまった (c)redbullcontentpool

チャレンジャークラスは各大会で全選手が飛行するわけではなく、千葉戦で飛ぶパイロットは12名中6名。アブダビでの筆者の体験飛行でパイロットを務めたバティスト・ヴィーニュ選手(フランス)、室屋選手に続く2人目のアジア系パイロットのケニー・チャン選手(香港)、唯一の「眼鏡男子」ヴィト・ウィプラチェティガー選手(スイス)らが飛行する。紅一点のメラニー・アストル選手(フランス)は出場が叶わなかった。

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    体験飛行のパイロットを務めてくれたバティスト・ヴィーニュ選手(左)と筆者

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    ケニー・チャン選手(香港)にとって、最初で最後のアジアでのレッドブル・エアレース出場 (c)redbullcontentpool

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    「眼鏡男子」ヴィト・ウィプラチェティガー選手(スイス)は今年からの参戦だった (c)redbullcontentpool

ヘリコプターや自衛隊機も登場

レッドブル・エアレースではエアレース機だけでなく、開催国の地元の飛行機も登場する。千葉大会では毎年、千葉市消防航空隊のヘリコプター「おおとり」がデモフライトをしており、今年はさらに海上自衛隊から2機種の参加が決まった。

ひとつは救難飛行艇「US-2」。新明和工業製の国産飛行艇で、エアレース会場の海面に着水し、ふたたび空へ飛び立つ予定だ。もうひとつは富士重工業(現SUBARU)製「T-5練習機」によるアクロバットチーム「ホワイトアローズ」で、教育飛行隊の教官パイロットによる編隊飛行を披露する。「US-2」「ホワイトアローズ」はいずれも東京湾での飛行展示は初めてだ。

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  • ホワイトアローズ、US-2、おおとりの飛行展示も飛行機好きにはたまらないイベント (C)レッドブル・エアレース千葉大会実行委員会