水位計を配置し河川の氾濫を監視

現在、島根県の益田市で先進的なIoTの実証実験が行われている。具体的には市中心部を流れる水路と、山間部を流れる川に水位計を設置して水流を管理。センサから流れる水路のデータを収集し、河川の氾濫を監視し、防災に役立てている。

この実証実験のフェーズ1の主体は、地元企業のシマネ益田電子(SME)を中核とするコンソーシアム「IoT益田同盟」で、同コンソーシアムには他にアーキテクトグランドデザイン(AGD)、オムロンやキュレージョンズ、慶応義塾大学(慶大)などが参画している。実証実験においては、AGDとオムロン、慶大が共同開発したIoTプラットフォーム「IoT PLANET HIGHWAY」をベースに、オムロンの環境センサの一部機能を使用した水位監視システムを構築。通信は、低消費電力・低ビットレートのLPWA技術を用いた、独自回線による無料通信を採用している。さらにデバイスのモジュールは単3乾電池3個で駆動し、また電池交換は3年に1回程度で済むため、設置コストやランニングコストを低く抑えることができる。これらにより、既存の一般的な水位管理システムに対してコスト優位性を有している。

まず2017年8月より、まず益田市内の用水路6カ所に水位計を設置した。この用水路は二級河川の益田川から引きこまれ、豪雨時の排水や、火災時の消火用水、一部は農業用水などに用いられている。また、平時にも環境を保つために一定量を流し続ける必要がある。従来は市職員が現場で水位を確認し、水門を開閉して水流を調節していたが、実証実験では水位計のデータがスマートフォンで確認できるため、現場に行かなくとも水位を把握できるようになっている。

  • 水位計モジュール

    水位計モジュール

  • 市内設置例(1)

    市内用水路の水位計の設置例(1)

  • 市内設置例(2)

    市内用水路の水位計の設置例(2)

また、2018年4月からは益田市郊外の山間部にも実証実験の範囲を広げている。「過疎」という言葉の発祥の地にもなっている匹見地区の河川3カ所に水位計を設置し、データを収集している。こうした山間部の自治体は市町村合併により、かつての町役場が市役所の支所となり、職員数が削減され、行政サービスの維持が課題となっている。匹見町への水位計設置は省力化にも対応したもの。益田市中心部から匹見地区までは約40km離れており、通信キャリアがカバーしていない山間部を含むため、水位計から匹見地区の支所まではLPWAで通信し、支所から益田市役所まではFTTHでつなぎ、データを送っている。

  • 匹見地区設置例

    匹見地区の水位計の設置例

  • 匹見支所の中継器

    匹見支所に設置された中継器モジュール。ここから益田市役所まではFTTHでデータを送信する