1. エネルギー効率

2020年までにデータセンターで消費される予想電力量は毎年730億キロワット時を超えますが、これは1,000万戸以上の平均的家庭に十分な電力を供給できる値です(3)。データセンター内でデータを移動すればするほど、冷却により多くのエネルギーが必要になり、電力網にかかる負荷が増大します。

米国エネルギー省によれば、エネルギー効率戦略を追加導入した場合、電力需要が45%低下する可能性があります(4)。損失を最小化し、効率を向上させる新たな戦略とテクノロジ-を導入すれば、データセンターによるエネルギー需要を減らすことができます。

エネルギー効率を向上させると、データセンターでのトランザクションに必要なエネルギーの低減とサーバ全体の冷却要件の低減という、2つの領域での低減効果が得られます。技術革新の機会は、サーバの電力供給アーキテクチャからポイント・オブ・ロード(PoL)トポロジまで、あらゆる領域に見られます。

共振およびハイブリッドDC/DCコンバータなどの新しいトポロジには、サイズの削減、効率の改善、温度上昇の低減といった利点があります。これらの手法をアイドル時の低消費電力や高速ウェイクアップを可能にするアルゴリズムと組み合わせれば、米国エネルギー省が予測した45%の削減率の達成に向けて大きな一歩を踏み出すことができます。

マクロ・レベルで見た場合、サーバ・システムには電力変換ステップの数による制限があります。直接変換を可能にするトポロジへの投資により、これまで実現困難とされていた新たな電力供給方式が、今では実現可能になっています。最初から400V DC電源をCPUに直接供給することにより、3つの変換ステップを排除できると考えてみてください。このようなタイプの破壊的アプローチは、いずれも電源管理や半導体の技術革新によって可能になったものです。

2. ビッグ・データの格納と提供

高速でアクセス可能なデータへの世界的需要が拡大するにつれ、データを格納、回収するためのエネルギーへの需要も高まることになります。そのような需要から生じるコストや環境への影響を制御することが、今後の重要課題となります。

消費者がこれまでになく大量の情報をクラウド上にアップロードして保存するようになり、クラウド・ストレージが過去数年間にわたって爆発的に増加しました。これらのトランザクションは、実行されるたびにエネルギーを消費します。たとえば、ホーム・ビデオを録画し、それをクラウドにアップロードして保存し、後で取り出すプロセスには、それらに消費されるエネルギーが必要です。半導体を利用して最高のアクティブ・モード効率、スリープ時の低消費電力、超高速のウェイクアップ時間を備えた電源管理ソリューションを実現すれば、これらすべてのトランザクションを最小限の消費エネルギーで実行できるようになります。

3. 電力密度

電源の電力密度は、向上してはいますが、ムーアの法則に従って増加しているわけではありません。半導体によってより多くの機能が実現すれば、電力需要も高まります。たとえば、携帯電話の急速な世界的普及には、リチウムイオン・バッテリ・テクノロジーが多くの点で貢献しており、このテクノロジーの活用によって、1日中使用するのに十分なバッテリ駆動時間を確保しながら、より多くの機能を携帯電話に搭載できるようになりました。

そのトレンドに隠れて見過ごしがちなのが、バッテリが大型化して性能が向上するにつれ、それに電力を供給する充電器との性能差が開くという点です。フル機能のスマートフォンを充電することなく1日中使えるのに対し、その充電には一晩中かかるという状況が容易に思い浮かびます。より優れたユーザ・エクスペリエンスを実現する鍵となるのは、電力密度の向上です。