消費電力 & 動作周波数 その2(グラフ192~196)

最後にこちらを。グラフ192が実効消費電力変動、グラフ193が実効消費電力差である。192だけ見ていると消費電力がCRIMSON Software 16.7.1でやや増えた印象を受ける。実際16.6.2と16.7.1、あるいは16.6.2 CFと16.7.1 CFを比較すると、どちらも微妙に後者が増えているからだ。

ただ実効消費電力差を見ると、CRIMSON Software 16.7.1を利用することで明確に消費電力が減っている。理由はグラフ194を見れば明らかで、Idle時における消費電力がやや増えているからだ。先ほどと同様に、SingleとCrossFire構成での差を見ると

Driver 16.6.2 16.7.1
Idle 8.4W 12.6W
Game Test 1 155.5W 136.0W
Game Test 2 154.5W 139.1W
Combined Test 162.5W 144.9W

といった数字になる。Game Test 1での推定合計は148.6W、Game Test 2では151.7Wとなり、まだオーバーしているように見えるが、CrossFire制御のOverheadで多少CPUの負荷が増えると2Wくらいは簡単に変動することを考えると誤差の範囲だと思う。

GPU-Zのログ(グラフ195と196)を見ると周波数制御の方法も多少変化があったようだ。16.7.1(グラフ195)と16.6.2(グラフ135)を比較すると、Turbo周波数にいたる時間がやや長くなっている感じだし、温度も80度超えを許容している。

ただCrossFire構成に関しては、16.7.1 CF(グラフ196)と16.6.2 CF(グラフ136)で大きな差は見られない。やはり2枚のカードをPCIe経由で同期させるとなると、どうしても制御は鈍くなってしまうということだろうか。

とはいえ、150Wオーバー問題(というか、PCIeスロットの75Wオーバー問題)は一応解決したように見える(厳密に確認するにはTom's Hardware同様ライザーカードとプローブとオシロスコープを用意する必要があるので、今回は見送った)。

少なくともAMDは当然これを準拠するように修正・確認して出したはずであろうし、外部から見た限り確かに振る舞いは変わっている。しかも性能を犠牲にしていない(というか、改善した)事を考えれば、問題は収束したと考えて良いと思う。

まとめと考察

ということで毎度長い原稿ですいません。とりあえず、ファーストインプレッションで書いた

「RX 480はGTX 970と同程度以上の性能があり、GTX 970よりも消費電力も少なく、パッケージも小さく、そしておそらくは安い。GTX 980とも場合によっては競合できるというのはすばらしいことだ」

という結論を修正する必要は無いことは確認できたと思う。

問題はCrossFire環境。現状で言えるのは「ちゃんと性能が上がることを確認できている環境であれば」RX 480のCrossFireは選択肢の1つとして有効である。性能/消費電力比で言えばGTX 1070あたりの方が賢明であるが、性能/価格比では競争力があると思う。

問題は、CrossFireで性能が出ないアプリケーションが少なからずあることだろう。今回の例で言えば、Hitman 2016などは現時点ではお勧めできない。このあたりを割り切れるユーザーは、RX 480の2枚構成もそう悪い選択肢ではないかもしれない。

ただキーになるのはドライバの出来である。今回もCrimson Software 16.6.2→16.7.1でこれだけ性能が改善したので、今後のバージョンアップに多少期待を抱いてもいいだろうし、ゲームの側も改善される可能性がある(実際Steam等で配信されるゲームは、結構煩雑に更新される)から、これに賭けてみるのも1つの案だ。

ちなみに本稿が掲載されるころには、NVIDIAがGeForce GTX 1060を投入する。こちらとRadeon RX 480のどちらが良いか、というのが次の焦点になるだろう。

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