2015年5月13日から15日に掛けて、東京ビッグサイトで「Japan IT Week 春 2015」として12のイベントが同時に開催された。おなじみの「ESEC(組込みシステム開発技術展)」はIoT/M2M展と共同でビッグサイトの西ホールで開催されたが、実のところ行ってみるとどっからどこまでがESECでどこからがIoT/M2M展なのか区別が付かず、もう一緒のイベントでいいんじゃないかと思ったのはここだけの話だ。

さてそのESECであるが、2日目に行われた特別講演ではルネサス エレクトロニクスの高橋恒雄氏(Photo01)が「一歩先の世界へ」と題して45分ほど講演を行った。

公の場の講演としては昨年9月のRenesas DevCon Japan 2014の基調講演以来となるが、この8カ月の間に同社にとってのいくつかの大きな出来事があった。最大のものは、5月12日に発表された平成27年3月期決算で最終黒字を実現したことだろう。売上高7900億円に対して営業利益で1044億、純利益で824億というのはまだ十分ではないとはいえ、体質転換が確実に行われてきた事を示す。またこれに先立ち4月1日にはCEOの交代も明らかにされた筆者が予想したよりもやや早い交代ではあったが、逆に言えば予想より早く立て直しが済んだということでもあり、つまり新CEOである遠藤隆雄氏が登場する6月からルネサスは次のステージに移る事を意味する。

そうした事を踏まえてか、高橋氏の講演の内容は9月のDevConの時よりも一歩踏み込んだ内容であると共に、これまでルネサス社内に蓄積されてきたさまざまな技術の総ざらえが一通り終わり、具体的にこれを組み合わせた提案できるフェーズに入った事をうかがわせるものだった。ということで前置きが長くなったが、基調講演の内容を紹介したい。

Photo01:ルネサスCSMOとしておなじみの高橋恒雄氏