基調講演の内容はまたもや「価値ある1バイト」から始まった(Photo02)。データ量の爆発はもはや説明の必要がないが(Photo03)、これを馬鹿正直に垂れ流していたらネットワークとストレージが爆発するだけの話なので、どこかで生データを意味のあるものにする、あるいは意味をつけてやる必要がある。またセキュリティに関する話ももう珍しくない(Photo04)。その一方で、最近は特に自動車の自動運転などに絡んで、より高度な連携への要求があるわけで、こうしたことへの対応ももちろん必要となる。
もう1つが最近話題になっているIndustrie 4.0への対応である。もちろんドイツの主導するIndustrie 4.0にそのまま乗る乗らないの是非はあるにせよ、Industrie 4.0が目指している柔軟な生産工程による生産工程の革新そのものは間違いなくやってくる事はもはや間違いなく、これに向けての対応を行ってゆく必要がある。
さて、このあたりまでは業界概観ということで以前の講演とは大差なかったのだが、ここからが違う部分だ。高橋氏はこの価値ある1バイトの実現方法を「制御・生成と伝達・可視化」という3つのキーワードに分けてそれぞれ説明を行った。
まずは「制御」の話。同社が自動車向けに強いことはご存知の通りだが、競合メーカーもここに多くの製品やリソースを傾けている。ここに向けて同社もRH850のポートフォリオを強化しているわけだが、その一例がこちら(Photo07)で、いち早く製品ラインアップを40nmに移行させ、高性能・高機能化を実現したとする(Photo08)。
Photo07:車載用マイコンに関しては、鍵を握っているのは内蔵フラッシュである。現在自動車向けでは55nmのFlash混載ロジックプロセスを使うケースが多いが、ルネサスは40nm Embedded FlashをTSMCと2012年から共同開発しており、これが結実した形だ |
Photo08:この分野では微細化もさることながら容積を小さくするためには発熱量の低下=効率の改善が必須であり、これを実現した結果としてリファレンスデザインが4.9L→0.9Lまで小型化したとする |
またHEV/HV向けの制御ソリューションも強化する(Photo09)と共に、Funtional Safetyに向けたシステム構成や認証取得のサポートプログラムの紹介、さらには次世代製品に関するロードマップまで示した(Photo10)。もちろん産業機器向けに関しても余念はない。こちらでは4月に発表された「RX23T(Photo11)」をまず紹介、さらにモータ設計開発ソリューションとしてモータ制御システムのプロトタイプ開発から量産までをカバーするツール群を紹介(Photo12)した。
また将来の話としてSOTB(Photo13)を前面に押し出してきたのはちょっと驚いた。また機能安全に関しては、産業向けのIEC61508 SIL3向けのソリューションを紹介した(Photo14)。