続いてはデベロッパー部門のコースに関して。プライマリークラスのコースに関しては2014年とそれほど変わらず、まずはゴールまで走って、その後に少なめの難所に挑戦する形となるそうだ(画像12)。一方、アドバンストクラスのコースは大きく変更する予定だという。2014年のコースも直線距離はそれなりにあったと思うのだが(画像13)、実行委員会的にはまだまだ短くて、NXTrikeの最高速を出し切れなかったということで、もっと直線を長くしたいとする(どのようなレイアウトで長く直線を取るのかは未定)。その一方で低速コーナーもあり、緩急の付いたコースを考えているようだ。もし同じ面積で直線をより長く取るとしたら対角線上に設ける形が考えられるが、もしかしたらより面積を広げるのかも知れない。

画像12(左):2014年のプライマリークラスのコースレイアウト。コースを半周するような形で、スタート地点側のメインストレートの反対のバックストレート上にゴールゲートがある。インコースの難所はフィギュアLとガレージイン。アウトコースはルックアップゲートとガレージイン。画像13(右):アドバンストクラスのコースレイアウト。サーキットのように1周以上走った後にゴールとなる形だ。インの難所はモーグル、直角駐車場、フィギュアL。アウトはジャンプ台、縦列駐車場、仕様未確定エリア

そして以前から話は出ていたのだが、いよいよ動く難所が導入されることが正式に発表された。もちろん、アドバンストクラスのみで、プライマリークラスには設置されない。どのように動くのかは具体的には未定だが、話を聞いた感じでは数年前までは毎年あった難所であるシーソーのように、走行体が乗ることで受動的に動きが生じるというタイプではないのは確かなようだ。「IoT(Internet of Things)的にアクセスする」という発言もあったので、単純な開閉するゲートのようなものでもないようである。楽しみに待とう。

それから、その動く難所に関しては2015年の設計課題としてモデリングでの対応も明言されている。つまり、そこをどうまとめるかでモデルの評価が別れるポイントの1つになるというわけだ。そしてデベロッパー部門は競技結果とモデル審査の両方を評価する「調和平均方式」(画像14)を採用しているので、当然総合評価にも大きく影響するというわけだ。なお調和平均方式とは、競技結果とモデル審査の結果をそれぞれ0~1までの点数で表し、両方とも最も1に近いチーム(画像14のグラフで右上)が優勝となる。

画像14。調和平均方式のグラフ。例は、2014年東京地区大会Aブロックプライマリークラスのもの

こうした、地区大会およびCS大会に直接的に関わってくる部分のほかに、ETロボコンは各地域で、特にETロボコン初参加のエンジニア向けの「技術教育」が行われるのだが、その内容も変更されている。前述したようにEV3への対応がなされる形だ。ただし、前述したTOPPERSの開発環境EV3RT以外のMonoBrickやleJOSに関しては、Web上でのみ提供されるという。

また実装言語がC++となる。これまでは、実際の開発現場で最も使用されているCが使われてきたのだが、モデリングとのギャップが習得を困難にしてしまっているということで、その点を鑑みて今年からオブジェクト指向言語であるC++での実装に変更されたというわけだ。

さらにモデリング教育の内容に、「開発プロセスの記載」と「状態モデルの演習」が追加された。それからモデル駆動開発(MDD)環境として、オープンソース扱いのMDDツール「BridgePoint」の環境が用意されるという。