東京理科大学小林研究室・マッスルスーツ

東京理科大学工学部第一部 機械工学科の小林宏教授の研究室も上半身装着型のアシストスーツ「マッスルスーツ」を出展していた。は2000年代前半から開発が進められており、愛・地球博にも出展されたアシストスーツである(画像25~27)。毎年改良が続けられていて製品化も進んでおり、訪問入浴介護のアサヒサンクリーンで製品版(のプロトタイプ)が介護士の方たちが利用中だ(画像28~30)。

画像25。マッスルスーツを体験している最中の女性を撮影させてもらった。10kgのお米を徐々に載せ、4袋目はさすがに立っているのでやっとという状態だったが、3袋なら持って歩けるということであった

画像26。マッスルスーツの装着の様子や機構がわかるカット。上半身の装着のみなので、マッスルスーツ自体や持ち上げた人や物の重量はみな装着者の足にかかる形だが、その分機構はシンプルで、ザックを背負うような雰囲気だ。ただし、太ももと腰部を固定するため、重量物を持ち上げても腰を痛めない仕組みになっている

画像27。マッスルスーツの後方。省スペース型なので、訪問先の一般住宅で介護者が使用する場合でも、取り回しがいい点が特徴

画像28。同じブース内で、アサヒサンクリーンで使用されている製品版(プロトタイプ)の実機。マッスルスーツとは異なり、腕部のアシスト機構がない腰部を痛めないための「腰部アシストスーツ」だ

画像29。斜め後方から。一見すると何の装置を背負っているのか分からないが、アシストスーツである。アサヒサンクリーンは訪問入浴介護を行っているので、腕部のアシスト機構は濡れるのもあって使えないというのもある

画像30。背面から。研究開発モデルのマッスルスーツと比べ、外装が付いているためにイメージが異なる。しかし、何か空を飛ぶための装備のようなデザインだ

なお小林研究室といえば、空気圧式人工筋肉(McKibben型)「エアマッスル」(画像31・32)も外せない。PET製の網の中にゴムチューブが入っていて、チューブに圧縮空気を加えることで、膨張と共に収縮力を発生させる仕組みだ。製品化されており、販売中である。

画像31。空気圧式人工筋肉「エアマッスル」は製品ラインナップも複数ある

画像32。エアマッスルに空気が入っている状態。空気が抜けている状態だとペラペラで子どもでも容易に曲げられるが、この状態になると、人の手ではおいそれと曲げられないほどの硬度を有するようになる

エアマッスルは小林研究室で開発されて製品化されたものに利用されており、先ほどのマッスルスーツや、自律歩行が困難な下半身に障害を持つ人のためのアクティブ歩行器「ハートウォーカー」シリーズ(ハートウォーカージャパンから販売中)などにも利用されている(画像33~35)。

画像33。アクティブ歩行器「ハートウォーカー」シリーズ。左側は子ども用で、右が大人用

画像34。ハートウォーカーで使われているエアマッスル

画像35。ハートウォーカージャパンで開発中の足首と指先の運動補助装置「オートステッパー」にもエアマッスルが使われている