最後に3DMark VantageのPerformance Profileの結果をグラフ55に示す。まぁ順当な結果というか、やはりCPU Testの結果が大きく影響するため、ここでPhenom X4 9950とPhenom IIの差が大きくついた観はあるが、Graphics Testでも相応の差があるので、結果は妥当なところだろう。
Core 2/Core i7系の結果は、上でも書いたとおりGraphics Driverのバージョンが大きく異なる(Core 2/Core i7はCatalyst 8.10、PhenomはCatalyst 9.4)ので多少Phenom系が有利であるとは思うが、一応Phenom II 955では3DMark Scoreを9000台に入れてきたし、CPU ScoreもPhenom II 955では11000台となり、Core 2/Core i7系のHT無効のケースに近いところまで迫ってきた。
総じて、Phenom IIはPhenom X4に比べて多少キャッシュ周りを改善することで、だいぶ性能を底上げすることに成功したと言って良いだろう。ただし、改善は「多少」のレベルであり、Core i7に迫るためにはもっと抜本的にL2/L3の帯域を増やす必要があるだろう。扱うデータ量が限定的なデスクトップやモバイル向けにはこれでもいいのかもしれないが、大量のデータを扱うエンタープライズ向けやHPC向けにはクリティカルな問題となりえる。
今回エンタープライズやHPC系のテストは行っていないが、行ってもおそらくCore i7に迫るスコアはまず出てこないだろうと予想される。6コアとなるIstanbulの動作デモが米国では2月に、国内でも4月に行われているが、このキャッシュ周りを何とかしないと、コアだけ増えても殆ど性能に寄与しない様に感じられる。一応何かしらの変更(というか改善)は行われているが、Bandwidthの引き上げが図られているかどうかは現状不明であり、もう少し詳細が知りたいところである。