まとめ
ということで性能ベンチマーク編からだいぶ空いてしまったが、内部解析編を無事お届けできた。とりあえずPhenom IIは、Phenomで最大の問題だった消費電力の多さを、プロセスの改善により解決することが出来ており、6コア製品もこのまま問題なく開発できるだけのヘッドルームを持っていることは確認できた。
その一方、Core i7に対する最大のネックはL2/L3/MemoryのBandwidthの低さである。CPUコアそのものやL1キャッシュには十分な帯域があり、かつそれを使いきれるだけの構造になっているが、その先が大問題といったところ。例えるなら、3リッタークラスのパワフルなエンジンに軽自動車のタイヤやついてるようなものか。
問題は明確だし、コアに手を入れる必要はないから、CPUのパイプラインを変更するほど難しい作業ではないとは思うが、だからといってちょっとしたRevision Upで解決するほど簡単な問題でもないだろう。
このあたりの改善作業がIstanbulに間に合うかどうか。これが間に合えばCore i7に負けない性能を発揮できるだろうが、間に合わないと依然としてCore i7に大きなビハインドを負い続けるだろう。特にサーバやHPCの分野でこの性能差は致命的なものがあるわけで、このままだと折角これまで獲得してきたサーバ分野のシェアを失いかねない様に筆者には感じられる。今後の展開が気になるところだ。