4月15日から17日の3日間、東京ビッグサイトにてフラットパネルディスプレイ(FPD)関連技術の展示会「第5回 国際フラットパネルディスプレイ展(Display 2009)」が開催されている。同展示会と併催で、FPDの製造装置、製造技術などの展示を行う「第19回 ファインテック・ジャパン」やFPD関連の材料を集めた展示会「第4回 FPD部品・材料EXPO」が開催されているほか、初めての試みとなる「国際 タッチパネル技術展」「次世代照明 技術展」も開催となっており、これらの展示会の合計出展社数は676社におよぶ。

「第5回 Display 2009」および「第19回 ファインテック・ジャパン」の看板

今回は、この中から、Display 2009にて一際注目を集めていたメガネ不要の3Dディスプレイを展示していた各社を紹介したいと思う。

「第5回 Display 2009」および「第19回 ファインテック・ジャパン」の会場風景

ドイツの映像技術を提供

独VisuMotionの3D映像技術に関する日本代理店を手がけるVMJのラインナップは8.4/17/22/32/40/65型。また、10.4/12/15型などについても製造は可能だが、別途開発費が必要になるという。入力信号は全機種ともにDVI-D、もしくはアナログRGB入力に対応している。

大型ディスプレイ(左)のほか小型ディスプレイ(右)も展示されている

VisuMotionは、パネルのみならず、各種のソフトウェアも提供している。主なものとしては、3D立体映像再生ソフトウェア「3D Movie Center」、市販のCG製作アプリケーションにステレオレンダリング機能を追加する3D立体映像作製ツール「3D ステレオカメラプラグイン」、Direct 3D 8/9/OpenGLをベースにしたゲーム、アプリケーションをグラフィックカード上でのマルチビューレンダリングにより3D立体表示を可能にする「Deep Outside 3D」などがある。

2Dをリアルタイムで3Dに変換

ビジョンマルチメディアテクノロジ(VMT)とワールドワイドディスプレイは合同ブースで展示していたが、それぞれ異なる展示を行っていた。VMTではデジタルサイネージシステム「FlipVision」を展示。これは3D表示ではなく、リアプロジェクションスクリーンで、液晶フィルムをガラスに貼り付けることで、スクリーンを形成、スクリーンを不透明にすることで、パーティションにしたり、ブラインド状にしたり、透明状態にすることも可能。もちろん、投影スクリーンとして動画表示が可能であり、80型のシステムで70万円程度のコストで導入することが可能という。2009年5月からの販売を予定している。

VMTの「FlipVision」のデモ(右のように一部分だけ透明状態にすることも可能)

一方の韓国Samsung Electronicsの元エンジニアが立ち上げたCompoBankと提携し、国内代理店として同社の製品などの販売を手がけるワールドワイドディスプレイでは、7型および12型の3Dフォトフレームを展示。パララックスバリア方式のフィルタを用いており、独自技術により逆視の改善が図られているという。

CompoBankの7型3Dフォトフレーム

また、CompoBankでは2Dを3Dにリアルタイム変換するプロセッサを開発、それを用いてカメラからの入力画像を3D表示するデモも行われていたほか、5型有機ELを用いたフォトフレームなどの展示も行われていた。

左のカメラで撮影を行い、リアルタイムでディスプレイに右の画像のように3Dで表示する

独自加工で疲労感を減少

4月1日に東芝がパナソニックの持つ株式を買い取ることで東芝の100%子会社となることが発表された東芝松下ディスプレイテクノロジー(TMD)では、インテグラル・イメージング方式の3Dディスプレイのデモが行われていた。

独自加工のレンチキュラーシートによる3D表示(左)と、自社製GPUを搭載した処理ボード(右)

独自加工のレンチキュラーシートを用いることで、眼の疲労感が少なく、視域が広く、連続で滑らかな映像表現が可能になることが特長。「Autodesk Maya 8.5」用の立体プラグインを用意しているほか、DirectX 9対応ならびにOpenGL ES 2.0対応の立体グラフィックスライブラリが用意されており、Windowsと組込機器に対応することが可能。

展示スタッフによると、「技術的にはハードもソフトもビジネスで使用可能なレベルには達している」とのことなので、後は興味のあるカスタマが出てきてくれれば事業化ができることから、そうした興味を持つカスタマを募集したいとしていた。