自律ロボットによる屋外競技会「つくばチャレンジ2008」(主催:ニューテクノロジー振興財団)が20~21日、茨城県つくば市にて開催された。遊歩道に設けられた全長1kmのコースを制限時間内に走るもので、開催は昨年に続いて2回目。今年のコースは折り返しがあるなど、初開催の昨年に比べると難易度が上がったものの、1台が完走を果たした。

スタート/ゴール地点となった「つくばエキスポセンター」

難易度が上がった今年のコース

"つくばチャレンジ"は、"Real World Robot Challenge"という副題が示すように、人間が生活している実環境において、ロボットが自律的に動くための技術を追求することを目的としている。冒頭に"競技会"とは書いたが、タイムトライアルではなく、参加者それぞれが技術的課題にチャレンジする"合同走行会"と言った方が実態に近い。

コースは、歩行者や自転車が通行する遊歩道となっており、基本的に環境には手を加えない。自転車が駐輪してあることもあれば、道ばたに落ち葉が積もっていることもある。昨年も今年も天候には恵まれたが、もし雨が降っても強行される。晴れたら晴れたで日差しが強く、画像認識を採用したチームには厳しい状況となる。

コースにはこんな場所もある

往路は逆光でかなり眩しかった

今年のコースでは、「つくばエキスポセンター」がスタート/ゴール地点となる。昨年のコースは、距離は同じ1kmだったものの、ほぼ直線だった。しかし今回は、まずスタート直後に左に90度ターン。その先で右に曲がり、中間の折り返し地点を回ってくる必要がある。この折り返しが1つの難関になっており、ここまで到達したロボットは6台あったものの、クリアできたのはそのうち3台しかなかった。

今年のコース。180度ターンと90度ターンが2回ずつある

スタート地点。このゲートから向こう側に出発する

スタート直後に左に90度曲がる

その先でコースは少し右へ

途中にはアップダウンのある橋も

ここが折り返し地点。右側から左側へ回る

初出場のヤマハチームが見事完走

今年のつくばチャレンジには、50チームがエントリー(昨年は33チームだった)。初日には100mのトライアル走行が行われ、これをクリアできたロボット22台のみが2日目の本走行に出場した。なお本走行の出走順は、トライアル時のタイムが良かった順番で、5分間隔で順次スタートしていく。

予選トップタイムを記録したのは、北陽電機・産業技術総合研究所(産総研)ジョイントチーム。2年連続で本走行トップスタートとなった同チームだが、昨年はまさかの90mリタイア。今年も完走の最有力と見られていたのだが、コースから外れてあえなく35mでリタイア、"本番に弱い"という不名誉な記録を打ち立ててしまった。しかし全チーム終了後にエキシビションとして走らせた回は完走し、技術レベルの高さは示した。

動画
最初のターンは順調だった同チームだが…(wmv形式 1.74MB 11秒)
いきなりトラブル。何か本調子でないような(wmv形式 1.94MB 13秒)
予選2位は今回が初参加となるヤマハ発動機のチーム。自社製の電動車椅子を車体に採用しており、終始安定した走りで全く危なげなくゴール、今回で唯一の完走チームとなった。タイムは25分50秒だった。
動画
唯一"ヒヤリ"としたのは折り返し。少し接触したがうまくターン(wmv形式 5.15MB 39秒)
後から来るロボットとすれ違うシーン。基本的にはキープレフト(wmv形式 1.41MB 8秒)

ゴールして喜ぶチーム関係者。今回、完走はこの1台のみ

ロボットと"お揃い"の格好をしているのがリーダーの藤本勝治氏

メンバーは6名。今回のために社内でチームを結成したという(余談だが、結果が出なければ"ボウズ"だったとか)。自己位置の同定には、GPS、ジャイロ、オドメトリ(距離計)を使っており、誤差は±1m以内を実現できていたそうだ。「複雑にすると開発が間に合わないので、センサやアルゴリズムは極力シンプルな形を目指した」とはリーダーの藤本勝治氏。

車体は同社製の電動車椅子をそのまま利用。なので制御系の開発に集中できた

パナソニックのタフブックが2台搭載されていた。上の1台はログ用らしい