幻のゴール…あと一歩だったチームも
記録上は450mリタイアだったものの、事実上"完走"と言ってもいい走りを披露したのが金沢工業高等専門学校のチーム。惜しくも、折り返し地点で少し迷ってしまい、別のところでターンしてしまったのだが、それ以外では安定した走りを見せてゴールまでたどり着いた。
今回のコースでは、どうしても対向してくるロボットとすれ違うシーンが出てくるのだが、このロボットは正面から来たロボットをうまく回避することができていた。この機能は、今回の規則ではまだ義務づけられていなかったのだが(オペレータによる介入が許される)、すでに実装できていたことは高く評価できるだろう。 そのほか惜しかったのは、セグウェイをベースにした電気通信大学(550mリタイア)、クジラ型の芝浦工業大学(510mリタイア)、名古屋大学(450mリタイア)、金沢工業大学(同)など。特徴的なロボット達を紹介
GPSを使うチームが多い中、画像認識による自律走行にチャレンジしていたのが筑波大学・知能ロボット研究室のつくろぼチーム。前回、極めてシンプルなマシンで完走を果たしたチーム(というか、大島章氏が一人で開発している)だが、今回はあえて前回と全く違う仕組みを採用した。予選タイムは4位とまずまずだったが、本走行はマシントラブルで残念ながら8mでリタイア。
明治大学の黒田研究室Aチームも画像認識を用いていたが、残念ながら、こちらも37mでリタイア。木の回避に失敗して動けなくなってしまった。現時点では、まだ画像認識による自律は難しいところがあるが、将来的には人間と同じように視覚だけでも移動できるようになると思うので(それにGPSは場所によっては使えないこともある)、あえて難しい技術に挑んだ姿勢は評価したい。
クローラ型の車体を採用していたのが千葉工業大学のCIT-CATチーム。このロボットが面白いのは、レーザーレンジファインダ(LRF)を使って自己位置の同定を行っていたことだ。つくばチャレンジでは、LRFは障害物の検出などに使われることが多いのだが、このロボットでは主センサーとして、建物の壁面などを見ることに使われていた。ただ回避行動が入っていないそうで、コーンの手前でストップして終了(197mリタイア)。
次回の難易度はさらに向上か
前述のように今年の完走はヤマハ発動機の「JW-Future」のみで、このロボットがつくば市長賞を受賞。また特別協力のバンダイナムコからは、金沢工業高等専門学校のウサギ型ロボット「Love it」にバンダイナムコ賞が贈られた。
つくばチャレンジ委員会の油田信一委員長(筑波大学)は、「完走したロボットが1台いたことに安堵している。リアルワールドでしっかり動かすことは難しいが、全体としては極めてレベルの高いチャレンジだった」と総括した。
来年の開催については未定だが、油田委員長は「今回の遊歩道に加えて、隣接する中央公園も使ってみたいと考えている」とアイデアを披露。公園内の歩道はほとんど曲線で構成されており、周囲にはGPSの障害になりそうな木も多い。実現すれば、難易度はさらに上がりそうだ。