艦艇が搭載する対空ミサイルのことを、艦対空ミサイルという。水上戦闘艦なら一般的な装備だが、潜水艦ではほとんど例がない。ところが、それを開発してきた国がある。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。
ディールとティッセンクルップの共同事業
その潜対空ミサイル(?)とは、ドイツのIDAS(Interactive Defense and Attack System)で、ディール・ディフェンスとティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)が共同で開発している。通常動力潜水艦の自衛手段という位置付け。
原子力潜水艦と比べると、通常動力潜水艦は最大速力、あるいは最大速力の持続に制約がある。全速で走ればあっという間に蓄電池の電力を使い果たしてしまい、ジ・エンドだ。また、陸地に近い浅海面を行動する場合には、深いところに潜ってかわすわけに行かないし、機動の余地も限られる。
それなら、機動によってかわす代わりに反撃したらどうか、というのがIDASの発想のようだ。射程は15kmと説明されており、海中に潜ったままで発射できる。ミサイルは全長2.5m、弾体直径180mm、重量120kg。発射するとウィングを展開する構造になっている。