"風邪を引く"は"catch a cold" … 風邪をつかまえる!?

11月の半ばをすぎると、例年より暖かいとはいえ、ミシガンはかなり寒さが厳しくなってきます。こうなると、水をたくさん飲んだり、庭の芝や花によく水をあげていた暑い夏が懐かしく思われてきます……Wait a minute. How do I say "水を飲む" and "花に水をあげる" in English? Then, how about "水を流す?" ……いかがですか? 前回、単語を憶えるときは文章を作ってみて、使って憶えるといいという話をしましたが、その一例です。

いざ、英語を使ってみようと和英辞典で調べた単語を並べてみても、英語になっていないことがよくあります。これは動詞の使いかたがまちがっていたり、お決まりの単語の組み合わせになっていなかったりすることが大きな理由ではないかと思います。今回は、英語のお決まりのフレーズ"collocations(コロケーション)"について話をしましょう。

Collocationsというのは単語の種類にかかわらず、一般的に同時に使われる組み合わせをそう呼んでいます。たとえば、"have a lunch" "seriously injured" "bread and butter" "breaking news"などで、数え切れないくらい無数の組み合わせがあります。辞書もcollocations専用が"Oxford Collocations Dictionary for Students of English"をはじめ、いくつか出版されています。

Collocationsを知っておくと、日本語を英語に直すときにとても役に立ちます。前回、記憶の中から該当する単語を引っ張り出す"recall"は難しいという話をしましたが、単語ひとつひとつよりもフレーズで、あるいは文章で憶えておくと手がかりが多くなるのでより思いだしやすくなります。とくに、文章を見直す時間のない会話で相手にわかってもらいたいときに、お決まりのフレーズを並べられるとかなり違います。名詞が先に思い浮かんだときに、ちょうどいい動詞がわかる"Shortly, a good verb comes to me."という感じになったらいいですね。

和→英でコロケーションを認識する

では、どのようにしたら collocationsが使えるようになるでしょうか? 何といっても知っていることが一番なのですが、辞書や参考書の例をかたっぱしから憶えていく……のは、ちょっとつらいですね。憶えることは必要ですが、単に記憶していくのではなく実際に英文を書きながら使えるようにすると、より鮮明に記憶に残るはずです。問題は、自分で英文を書いてもなかなかcollocationsをうまく使えないことではないでしょうか。

そこでお薦めしたいのが、正解のある、和訳された文章を英訳してみることです。たとえば、Martin Fowler氏のBlikiのエントリ、CustomerLoyaltySoftwareの和訳である「顧客ロイヤルティソフトウェア」を見て、英訳にトライしてみてください。この日本語は直訳調ではなく自然な文章になっていてとてもよい和訳です。それだけに英文にするのがかえって難しく、Fowler氏が使っているcollocationsにうまくたどりつけないかもしれません。それでも、自分が書いた英文とFowler氏が書いている英文を比較できるのでとても勉強になります。

ためしに、簡単なところから英訳を考えてみましょう。最初のパラグラフにある「John Kordybackと楽しい会話をすることができた。」はどうでしょうか。ここでは"have a chat"というcollocationが使われていて、"I had a good chat with John Kordyback."という英文になっています。

3つめのパラグラフにある「エラーの温床となっている」はいかがですか? ここでは英語のニュースなどではよく聞く"prone(~しがちな)"を追加した"error prone"という表現が使われています。proneが付く表現には"fire-prone"や"accident-prone"などもあり、何か悪いことが起こりがちである場合に-proneを付けて端的に言い表します。

9つめのパラグラフにある「もしマイレージボーナスをつけたら」や10番めのパラグラフにある「この方式は上記のような問題にうまく適合している」の部分はとてもうまく日本語に訳されているので、Fowler氏の英語"if you offer a mileage bonus for flying route"や"this is a good fit for this kind of problem"を思い付かないかもしれませんが、"offer "という表現は英語ではよく使いますし、"a good fit"のような言いかたもよく聞きます。

Fowler氏はいつもお手本のような英文を書いてくれる上に、日本語訳もあるので、ちょうどよい教材です。文章とまでいかなくても、ここの部分を英語でどう表現するのかを考えるだけでも勉強になります。ぜひおためしください。

さて、collocationsをもっと勉強してみたいと思ったら、"Collocations"が入門編としてちょうどよいサイトでしょう。もうすこし上のレベルにトライしたいときには"Upper Intermediate – vocabulary 2 Collocation Worksheets"もありますので、試してみてください。

日本人にとってとても難しいcollocationsですが、慣れるに従って少しずつ使えるようになってくると思います。あきらめないで使う努力を続けてみてください。ちなみに、「水を飲む」は"drink water"、「花に水をあげる」は"water the flowers"、「水を流す」は"flush"です。米国ではまもなく、Thanksgiving break(お休み)がはじまりますよ。Holiday seasonのスタートです。「その件は休みのあとで…」と言われたら、"Give me a break!(やめてよ! 何言ってるの!)"とでも言い返しましょうか。