Windows Centralは6月6日(現地時間)、「I break down 4 new Windows 11 tools from Build 2026 that genuinely stood out and show where the OS is heading」において、Microsoftが開発者会議「Build 2026」で発表したWindows 11向け新技術のうち、開発者にとって注目すべき4つの新機能を紹介した。
Linuxコマンドをネイティブで利用可能にする「Coreutils」
Windowsのコマンドプロンプトで使い慣れたLinuxのコマンドを使いたいと感じているユーザーは少なくないだろう。Windows 11ではすでにsudo、curl、tarなど複数のLinux由来のコマンドを使えるが、それを大きく拡大するのが「Coreutils for Windows」だ。
これはオープンソースのuutilsプロジェクトをベースとしたツールで、ls、cp、touch、mkdir、pwdといったLinux系の主要なコマンドをWindowsでネイティブ動作させるというもの。従来、これらのコマンドを使うためにはWSLやサードパーティーツールに頼る必要があった。
Coreutilsの提供は、Microsoftが「Windows K2」構想の一環として進める開発者体験の改善策にも位置づけられている。Linuxサーバ、クラウド環境、コンテナ、Windows 11ローカル環境を日常的に行き来する開発者にとっては、OS間の開発体験の差を埋められるというメリットがある。
Dockerなしでコンテナを実行できる「WSL Containers」
LinuxコンテナをWindows 11上で動かすには、従来はDocker DesktopやPodman、Rancher Desktopといったサードパーティー製ツールが不可欠だった。「WSL Containers」はこの依存関係を解消する、WSLベースの組み込みコンテナランタイムだ。
新しいコマンドラインツール「wslc.exe」とAPIによって構成されており、専用の軽量Hyper-V仮想マシン上でOCI互換のLinuxコンテナを実行することができる。コマンド体系はDockerとほぼ同一で、docker runをwslc runに置き換えるだけで移行できる。管理ポリシーへの対応も予定されており、企業環境での利用も想定しているという。
WSL Containersは、今後のWSLアップデートを通じて順次展開される予定となっている。
AIがコマンド操作を支援する「Intelligent Terminal」
「Intelligent Terminal」は、GitHub CopilotなどのAIエージェントを直接組み込んだAI統合型のターミナル環境だ。Microsoftによると、コマンド失敗時の関連コンテキストの提示、解決策の提案、マルチステップタスクの補助など、ターミナルでの作業をAIが効果的にサポートするという。例えば、コマンドが失敗した場合、従来はエラーメッセージをブラウザーにコピーして検索して解決策を探すといった作業が必要だったが、Intelligent Terminalではターミナルに統合されたAIが解決をサポートする。
Windows Terminalをフォークする形で、独立したアプリとして開発された。既存のWindows TerminalにCopilotを直接統合するのではなく、独立アプリとして提供したことには、AI統合への反発を避ける意図もあるようだ。Intelligent Terminalは、Microsoft StoreまたはGitHubからダウンロードできる。wingetコマンドでのインストールにも対応する。
1コマンドで開発環境を構築する「Windows Developer Configurations」
開発者にとって、新しいプロジェクトに参加したときの最初の障壁は開発環境や検証環境のセットアップだ。「Windows Developer Configurations」はこのプロセスを簡素化するソリューションである。
これはWindowsにインストールする新しいツールではなく、「.winget」拡張子を持つ設定ファイルだ。開発者は、この設定ファイルに、Visual Studio Code、GitHub Copilot、PowerShell、WSL、Git、Pythonといった主要ツールのインストールや、エクスプローラーへのGit統合、ファイル拡張子の表示設定、Windowsの開発者向け設定の適用などといった構成を記述できる。あとは、ただコマンドを実行するだけで、記述された構成を環境に適用できる。
Microsoftは、インストールおよび構成できるすべての項目を次のGitHubリポジトリのREADMEファイルで公開している。
Windows Developer Configurationsを活用すれば、開発チーム全体で共通環境を迅速に構築可能なため、端末の初期設定にかかる手間を大幅に削減できる。
LinuxやmacOSに対抗、Windowsの開発者体験を強化
Build 2026ではAIエージェントやローカルAIモデル、新型開発プラットフォームなどが注目を集めた。一方で、ここで取り上げられた4つのツールは、一般ユーザーにとってはけっして派手なものではない。しかしこれらは、LinuxやmacOSに流れつつあった開発者を呼び戻し、Windowsをより柔軟で一貫性の高い開発基盤へ進化させようとするMicrosoftの戦略を象徴している。Windows Centralでは、これこそがWindowsをより開発者フレンドリーな環境へ進化させる重要な要素だと評価している。
