ASCI RedのOSはParagonのOSを改良したもの

ASCII Redのブロック図に示されるように、ASCII Redにはサービスノード、I/Oノード、コンピュートノードという処理の内容が異なるノード群がある。

  • ASCI Red

    ASCI Redのブロック図。Pentium Pro CPUを2次元メッシュ接続するマシンで、ソフトウェア的に多数のCPUを並列に動かすMIMD構造となっていた

全体の制御を行うサービスノードとI/Oノードに使用するOSは標準のBSD UnixをベースとしたParagon XP/S用に開発したOSが使用されている。このOSは「TFLOPS OS」と呼ばれた。

計算ノードは数が多いのでメモリを無駄に使ってしまわないように、必要な機能だけに絞った軽量のOSを使用した。また、不要な機能を省くことでOSの動作も速くなる。計算ノードのOSとしてはParagon XP/S向けにSandia国立研究所とニューメキシコ大学が開発したSUNMOSの次期軽量OSであるPumaをベースに、ASCII Red向けの変更を加えた「Cougar OS」を使用した。

Cougar OSはマルチタスクの処理を行うことができたが、ASCII Redでは1つの計算ノードでは1つのアプリケーションプロセスを実行させるというやり方を採った。これにより、各計算ノードで実行するプログラムは普通のシーケンシャルコードが使える。

そして、ノード間でデータを移動する場合は、明示的にメッセージパッシングライブラリを呼び出してデータ転送を行っていた。

ASCI Redは7期にわたり1位をキープした初の1TFlops超えスパコン

1996年の最初のTop500の測定の時にはすべてのノードが揃わず、7264プロセサでの動作であったが、LINPACKベンチマークで1060GFlopsを達成し、1997年6月のTop500で1位となった。なお、これが世界で初めてのLINPACKでの1TFlops超えの記録である。

ASCI Redは1997年11月には9152プロセサを揃え、1340GFlopsとなった。そして1999年6月にはPentium Pro CPUのクロックが333MHzのボードと置き換えられ、規模も9472プロセサと少し増設され、2.121TFlopsまでLINPACK性能が向上。その後も1999年11月には9632プロセサで、2.379TFlopsへと性能を向上するなど、アップグレードが頻繁に行われたので、ASCI Redは1997年6月から2000年6月まで7期にわたってTop500の首位をキープした。

(次回は7月31日に掲載します)