前回は、電子戦関連のアンテナをお題にして、全周をカバーするためのアンテナの設置要領と、具体的な事例を取り上げた。今回は目視に関わる話を取り上げてみたい。いささか話が前後する感はあるが。→連載「航空機の技術とメカニズムの裏側」のこれまでの回はこちらを参照

キャノピーを突出させるとともに後方視界を確保する

まず、目視といえば人間の目玉である。昔の飛行機は操縦席がむき出しになっていることが多かったが、さすがに前方から吹き付けてくる風が直撃してはたまらないので、パイロット前方の風防(windshield)はあった。風防だけ設置して、その後ろはむき出しという時代に続いて、全体をキャノピーでカバーするようになった。

ところがそうすると「視界の妨げになる」と文句をいうパイロットが現れた。ときには、キャノピーを外して飛んでいた事例が、あったとかなかったとか……。しかし、そんな真似ができたのはプロペラ機の時代だからで、さすがにジェット戦闘機になると、むき出しで飛びたがるパイロットはいなくなった。

  • スーパーマリン・スピットファイア。固定式の風防とキャノピーの組み合わせは一般的なものだが、視界を広げるために、キャノピーが上に膨らんでいる 撮影:井上孝司

バックミラーをつける事例:MiG-21

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