こんにちは。東京都大田区の3Dプリンタメーカ スマイルリンク(株)の大林万利子です。先月は機械要素技術展(6/25-27:東京ビックサイト)など3つの展示会に出展しました。ビックサイトでの3Dプリンタ関連ブースはどこも人だかりができ大変な人気でした。当社ブースも1日中ヒトが絶えることなく多くのお客様とお話しできました。

写真1 大田区のブースの混雑の様子

初めて見たという方、3Dプリンタを会社などで使っていて自宅での導入を考えている方。そして自分の業務に使えるかどうかを検討している方など、ニーズはいろいろですが動いている3Dプリンタをご覧になる目は真剣そのもの。3Dプリンタの様子を見ながら、初めて見る造形プロセス(写真2)におもわず一緒に来られた方に指をさしながら話しかける光景が印象的でした。

写真2 ロボットのTimeLaps動画。クリックで動画が再生されます

さて今回は展示会でも質問の多かった3Dプリンタで使える「素材」についてお話しします。これまでどおり弊社の3Dプリンタ「DS.1000」を例にお話しをすすめます。

パーソナル3Dプリンタで使えるのはプラスチック

本連載の第1回でもお話ししまたが、素材はプラスチックを糸状に巻いたフィラメントというものを使います。よく「金属はつかえないの?」というご質問を頂きますが、金属の3Dプリンタは、工業用がごくわずかに出てきているくらいです。

それではパーソナル3Dプリンタではどんな種類のプラスチックが使えるのでしょうか。3Dプリンタで良く使われる代表的な素材は2つ。ABSとPLAです。

ABS樹脂とは?

ABS樹脂はアクリロニトリル(A)、ブタジエン(B)、スチレン(S)の頭文字をとって命名されています。粘着性があり、強度があるのが特徴です。日用品や雑貨などの造形に適しています。たとえば組み立てブロックで有名な「レゴ」もABS樹脂でできています。

紙やすりなどもかけやすく、プラスチック用の塗料などの塗装もしやすいです。多くのカラーバリエーション(写真3)があります。1巻あたり税込5000円(kg)ですので1gあたり5円となります。動画のロボットは3gですので、材料代は15円です。

写真3 カラーバリエーションが豊富なABS樹脂

注意すべき点は厚みが薄い物や、成型の大きさが大きい物(10cm超)を成型すると、樹脂自体の熱収縮性により、変形する場合があることです。

PLA樹脂とは

PLA(polylactic acid、polylactid)は植物性由来の樹脂で、成型された物は粘りが少なく強固です。ABS樹脂の弱点でもある熱変成が少なく、大きい造形物を作る事が出来ます。ABS同様多くのカラーバリエーションがありABS同様安価です(6円/g)。中には蛍光色(写真4)やラメ入りの素材もあります。

写真4 蛍光色のフィラメントも存在するPLA樹脂

注意すべき点は弾力がなく、固いので研磨などの加工作業が困難で塗料もうまく馴染みません。

ナイロン/PET

ABSとPLAにくわえ、DS.1000ではナイロンとPET素材も使用することができます。

ナイロンを使用することで、弾力のある部品を出力することが可能です。(写真5)

写真5 ナイロンを使うと弾力を持たせることができる

最近PET(polyethylene terephthalate)がつかえるようになりました。いわゆるペットボトルのPETです。透明感があります(写真6)。

写真6 透明感を持たせられるPET

理論的には糸状にしたプラスチックの素材で、融点が合えば3Dプリンタの素材として使えるはずです。昨今様々な3Dプリンタ用素材が世界中で開発されているので、今後はさらに素材のバリエーションは増えてくるでしょう。一方で日本製のフィラメントは、私の知る限り発売されていないようです。展示会などでサンプルは見かけますので、今後は日本製のものが市場に投入されるのではないでしょうか。

さて、次回は「簡単なモデリング(かたちをつくる)」に挑戦したいと思います。インターネットにある素材をダウンロードするだけでなく、自分でカタチの「設計図」をつくってみます。3Dプリンタでそれを出力すればオリジナル製品への第一歩になると思います。

また当社では7/12にカンタンCADセミナー、7月26日に3D CADセミナーをそれぞれ開催します。どちらも設計の後、3Dプリンタにて造形します。

データを自分で作ることができれば、3Dプリンタの可能性も無限に広がります。ご興味のある方はぜひ体験してみてはいかがでしょうか。