三洋化成工業は10月8日、子会社のサンノプコがMLCC(積層セラミックコンデンサ)をはじめとする先端電子部品向けに、セラミックス微粒子用の水系分散剤を開発したと発表した。セラミックス粒子をナノメートル領域まで微粒子化するとともに、粒子の再凝集を抑え、均一に分散させられるという。

開発したセラミックス微粒子用の水系分散剤は、セラミックス製造の前工程で行う湿式粉砕やスラリー調製で使用する。酸化チタンやチタン酸バリウムなどのセラミックス粒子の解砕を促進し、微粒子化した後の再凝集を抑制する。これにより、高濃度のスラリーでも粘度上昇を抑え、安定したスラリー調製を可能にする。

MLCCの薄層化でセラミックス粒子の分散が課題に

AIサーバやデータセンターの普及、5G/6G通信の高速化、電子機器の高性能化に伴い、MLCCをはじめとする電子部品には、さらなる小型化と高容量化が求められている。これに対応するため、MLCC内部の誘電体材料となるチタン酸バリウムなどの微粒子化と、誘電体層の薄層化が進められている。

チタン酸バリウムなどのセラミックス材料を製造する際は、原料粉末を目的の粒径まで均一に解砕し、生成した微粒子を再凝集させずに分散させる必要がある。しかし、ナノレベルまで微細化した粒子は凝集しやすく、均一な分散状態を維持することが難しいという課題があった。

また、生産性を高めるためにスラリーを高濃度化すると、粉砕の進行に伴って粘度が上昇し、粉砕効率が低下する。用途や工程によっては、分散剤などの有機成分が残留すると製品特性や工程設計に影響するため、低温で効率的に分解・除去できることも求められていたという。

ナノ粒子の再凝集とスラリーの粘度上昇を抑制

サンノプコは、セラミックス製造プロセス向け添加剤で培った知見に、界面制御技術と分子設計技術を組み合わせ、新たな分散剤を開発した。湿式粉砕工程で粒子同士の再凝集を抑え、従来の分散剤では対応が難しかったナノレベルまでの微粒子化を可能にしたとしている。

  • セラミックス製造プロセス

    セラミックス製造プロセス

微粒子化した後も均一な分散状態を維持することで、スラリーの粘度上昇や粒子の沈降を抑制。高濃度化や粉砕効率の向上につなげる。酸化チタンに加え、チタン酸バリウムやアルミナなどの酸化物系材料にも対応する。

同社が示した酸化チタンの湿式粉砕試験では、開発品を使用した場合、従来品より微細な粒径まで粉砕できたという。粒径は動的光散乱法(DLS)によるメジアン径(D50)で測定した。

  • 開発品と従来品の粉砕後粒径比較

    開発品と従来品の粉砕後粒径比較

約300℃までに有機成分の大部分を除去

開発品群には、高い分散性能に加えて低温分解性を備えたタイプも用意する。熱重量分析(TGA)では、約300℃までに有機成分の大部分が分解・除去されるという。従来品より低い温度で分解が進むため、有機成分の残渣を抑えるほか、加熱・乾燥効率の向上やエネルギーコストの削減に貢献するとしている。

サンノプコは、水系・溶剤系の分散剤に加え、バインダー、消泡剤、離型剤、帯電防止剤なども展開している。これらの添加剤を組み合わせ、原料の粉砕・合成からスラリー調製、成形、焼成まで、セラミックス製造プロセス全体を対象としたソリューションを提案する。

今後はMLCCをはじめとする電子部品材料のほか、半導体関連材料や先端セラミックス分野への提案を進める方針だ。