トヨタ自動車は11月5日に発表した2027年3月期第2四半期決算の説明資料で、ロボティクス事業の成長戦略を明らかにした。従来の新車事業やバリューチェーン事業に加え、ロボティクスを新たな事業の柱に育てる方針だ。
同社は2028年から2040年にかけて、トヨタグループと仕入先で累計40万台のロボット導入需要を想定している。まずはグループ内の工場における自動化需要を取り込み、将来的には他の製造業や生活領域への展開を目指す。
ロボット開発では、世界60工場に蓄積された技能データや、自動運転ソフトウェアの知見を活用する。2027年1月には、事業推進を担う全社直轄組織「トヨタロボティクス」を立ち上げる予定だ。
トヨタグループと仕入先でロボット40万台の導入需要を想定
トヨタが示したロボティクス事業の成長戦略では、グループ内の需要が事業化の出発点となる。
同社は2028年から2040年までの期間に、トヨタグループと仕入先で累計40万台のロボット導入需要を想定している。内訳はトヨタグループが15万台、仕入先が25万台で、内製品と購入品の両方を含む。
また、老朽化した設備の更新投資についても、年間1兆円規模の需要を見込んでいる。こうした既存の生産設備の更新や工場の自動化を通じて、ロボット技術の開発・実装を進める。
事業の推進体制も強化する。2027年1月には、全社直轄組織「トヨタロボティクス」を立ち上げる予定だ。
同社は、トヨタ・グループ・仕入先の需要を起点に競争力を磨き、製造業や他産業、生活領域へのソリューション提供によって事業成長を加速させる方針を示している。
世界60工場・1万8000人の技能データをロボット開発に活用
ロボティクス事業の競争力を支えるのが、トヨタ生産方式(TPS)や自動車製造で培った技術、現場に蓄積された技能データだ。
トヨタは、世界60工場と1万8000人の匠の技能に関する良質なデータを強みとして挙げている。こうしたデータを活用することで、ロボットの高度化を図る。
同社は工場の自動化を3段階「FA 1.0」「FA 2.0」「FA 3.0」に分けて整理している。
「FA 1.0」は、ルールベースのロボットを軸とした自動化だ。これに対し「FA 2.0」では、生産物流システムの同期化・自動化を進める。さらに「FA 3.0」では、人とロボットが協働する生産現場の実現を目指す。
こうした取り組みを支える技術として、工場管制プラットフォームやロボット基盤モデルなどを挙げている。
工場管制プラットフォームでは、ジャストインタイム生産システムと交通管制システムを組み合わせ、導入工場のリードタイム50%削減を目指す。
また、自動運転ソフトウェアプラットフォーム「Arene」で培った知見をロボティクスに拡張する。ロボット基盤モデルについては、現場の匠から効率的に学び、人に教えることのできる仕組みを目指している。
ハードウェアにおいても、クルマづくりで培った品質、耐久性、信頼性に関する技術を生かし、信頼性の高いロボットの提供につなげる。
工場の自動化から生活領域へ、ロボティクスを新たな事業の柱に
トヨタは、ロボティクス事業の対象を工場内の自動化に限定していない。
同社が掲げるビジョンは、人に寄り添い、ともに成長するロボットによって「幸せの量産」に貢献することだ。
ファクトリーオートメーション(FA)領域では、人を中心としたモノづくりとロボットを融合させ、新たなサービスの創出を目指す。一方、生活領域では、人が共感でき、安心・安全で信頼できるパートナーとしてのロボットを構想している。
具体的な活用領域としては、生活パートナー、デリバリー、家庭内作業などを挙げている。
事業化に向けては、まずトヨタグループや仕入先におけるロボット導入を通じて技術を磨き、その後、他産業や生活領域へと市場を広げる。
トヨタは、自動車事業で培った生産技術やソフトウェア、現場の技能データを組み合わせ、ロボティクスを新たな事業の柱に育てようとしている。


