ヒューマンリソシアは8月27日、国内の主要15産業を12の指標で比較・分析した「主要15産業の人材動向レポート」を発表した。情報通信業は就業者に占める新卒就職者の比率が最も高く、東京集中度も突出して高い一方、建設業では65歳以上の就業者が29歳以下を上回るなど、人材確保が多くの産業に共通する課題でありながら、その背景にある人材構造や人材流入経路は産業ごとに大きく異なることが明らかになった。
同レポートは、企業の人材確保・採用戦略の検討に資することを目的にまとめられたもの。総務省「労働力調査」、厚生労働省「外国人雇用状況」「賃金構造基本統計調査」などの公的データをもとに、女性比率、65歳以上の就業者比率、高齢化指数、非正規比率、海外人材比率、東京集中度、新卒就職者比率、転職入職者の比率など12項目を用いて主要15産業を比較している。
製造業の就業者がトップに
産業別の就業者数をみると、最も多いのは「製造業」の1033万人(構成比15.1%)で、次いで「卸売・小売業」が1029万人(同15.1%)、「医療・福祉」が947万人(同13.9%)と続いた。この3産業で全就業者6828万人の約44%を占めている。
人材の流入経路には産業ごとの違いがみられた。就業者に占める新卒就職者の比率は「情報通信業」が2.1%で最も高く、「金融・保険」が1.9%で続いた。一方、転職入職者比率は「宿泊・飲食業」と「その他サービス」がともに15.8%と高い。情報通信業や金融・保険では将来的な新卒者数の減少を見据えた人材確保が、宿泊・飲食業などでは転職市場を通じた人材確保と定着が、それぞれ重要になるとの見方を示している。
各産業の総就業者に占める東京の就業者の比率(東京集中度)は、全産業計が12.6%であるのに対し、「情報通信業」は34.7%と突出し、就業者の約3人に1人が東京で就業している計算となる。次いで「学術研究、専門・技術サービス」が24.0%と高く、専門性やデジタル領域に関連する産業で東京への集中が目立つ。一方、「製造業」や「建設業」では相対的に低く、地域分布にも産業差がみられた。
年齢構成では、65歳以上のシニア層の比率が「不動産・物品賃貸」で29.0%、「その他サービス」で22.4%、「生活サービス・娯楽」で18.7%、「建設業」で16.7%と高かった。シニア層の就業者数が29歳以下の若年層就業者数の何倍にあたるかを示す「高齢化指数」で比較すると、「不動産・物品賃貸」が2.63倍と突出し、「その他サービス」が1.86倍、「建設業」が1.40倍と続いた。建設業では65歳以上の就業者数が29歳以下を上回っており、これらの産業ではシニア層の経験や技能が現場を支えている一方で、若年層の確保や技術・ノウハウの継承が課題となる可能性がある。
日本国内で働く海外人材は257万人超
日本国内で働く海外人材(外国人労働者)は2025年10月末時点で257万人を超え、総就業者に占める比率は3.8%となった。産業別では「その他サービス」が8.1%、「宿泊・飲食業」が7.7%、「製造業」が6.1%、「建設業」が4.3%と、いずれも全産業計を上回った。2027年度からは技能実習制度に代わる「育成就労制度」が始まることから、同社は、採用だけでなく、長く活躍してもらうための環境整備など、定着に向けた取り組みがより重要になるとみている。
同社は考察として、少子高齢化により国内の労働供給制約が強まる中では、産業ごとの人材構造を踏まえて採用・育成・配置・定着のあり方を検討することが重要になると説明。多様な働き手が活躍できる環境の整備に加え、業務プロセスの見直しやデジタル活用による生産性向上を組み合わせ、人材がより付加価値の高い業務で力を発揮できる職場づくりも重要になるとの考えを示した。


