不二製油は、同社初となる“猫の健康”に着目したペットフード用原料を開発したと9月3日に発表。岩手大との共同研究で、この原料を含むペットフードを7頭の猫に約1カ月与えたところ、腸内環境改善や腎機能維持への有用性、便臭の改善を示す結果が得られたと明らかにした。

  • 難消化性大豆たん白のイメージ 出所:不二製油

    難消化性大豆たん白のイメージ 出所:不二製油

不二製油が今回開発した原料は、「マム」(MAM:Microbiota Accessible Macropeptide)と呼称する、大豆たん白由来の難消化性成分。大腸まで到達し、腸内環境に作用することが期待される素材だという。

国内の猫の飼育数は「900万頭前後で推移している」(不二製油)とされ、一般的な飼育猫の寿命は十数年だが、近年は飼育環境の改善によって20年を超えるケースもあるという。

猫飼いの間では、こうした老齢の猫は慢性腎臓病(CKD)にかかるケースが多いことが知られており、腎機能の低下を抑えるための栄養学的なアプローチが求められてきた。また、腎機能の低下は人間に限らず猫であっても、体内に溜まる老廃物の十分な排出に難をきたすことから、日常的な食事を通じた健康維持への関心が高まっている。

近年、腸内環境と腎機能の関係は「腸腎連関」として注目を集めている。腸内で発生する腐敗産物が体内に吸収されると、肝臓で尿毒素に変換され、血中尿毒素の増加につながり、結果として腎臓への負担が高まる可能性がある。このため、腸内環境を整えることは、腎臓の健康維持にも関係すると考えられている。

不二製油と岩手大は今回、MAMが猫の腸内環境および腎機能指標に与える影響について共同で検討。不二製油がMAMの製造と試験用フードの提供を担い、岩手大の研究チームが臨床試験を実施した。

今回の研究では、臨床上健常な猫2頭と、慢性腎臓病(CKD)ステージ2の猫5頭をあわせた計7頭を対象に、MAMと市販のペットフードを30日間給与。血液検査、尿検査および糞便分析を行った。

その結果、MAMを摂取したすべての猫において、腎機能の指標である血中クレアチニン値の低下が認められ、腸内で生成される腐敗産物が糞便中から減少し、便臭も改善。血中尿毒素の低下も見られたという。慢性腎臓病の猫3頭においては、病期(病気の進行に応じて区分した期間や段階)の改善も認められたとのこと。

  • 想定される作用メカニズム 出所:不二製油

    想定される作用メカニズム 出所:不二製油

今回の研究成果について両者は、腸内環境と腎機能の関係(腸腎連関)を介して、猫の健康維持に寄与する可能性があると見ている。また、「MAMが腸内環境の改善を介して、猫の腎機能の健康維持に寄与する可能性を示した初めての報告」とし、「MAMは、猫の健康維持を支える新たなペットフード素材としての活用が期待される」とのこと。

不二製油と岩手大は今後、猫の腸内環境と腎臓の健康維持に関する研究をさらに進める方針。不二製油は、これまで培ってきた大豆たん白素材の研究開発技術を活かし、ペットフード分野においても、動物の健康維持に貢献する素材の開発に取り組むとしている。