【 ZAIKAI TOP FILE 】東急不動産社長・田中辰明

マンションは「環境先進×未来資産」で住んでから価値が高まる物件の供給を

 

「不動産開発の事業環境が変わってきている。一方、住宅販売、オフィス賃料、ホテルの稼働率・宿泊単価など、全体的には堅調に推移している」 

 日銀の金利引き上げで、住宅取得への影響は出ているのか。「9割前後のお客様が変動金利で借りているが慌てている感じはない。ただ、今後の上昇を見据えた中で、住宅に対する考え方に変化があると見ており、ここは見極めていきたい」 

 特にマンションは立地条件が限られており供給が増えておらず、価格が下がる気配はない。それだけに「競争力があり、魅力的な物件の提供が大事。買った時の価値より、住み始めてから先の価値が維持され、高まるような住宅を提供していく」。 

 同社のマンションブランド「ブランズ」は今、「環境先進×未来資産」という形でリブランディングを進めている。例えば住民参加型で植栽計画を立案し、環境意識を高めながら、マンションの資産価値を高めるという新たな管理のあり方も提案。 

 東急不動産は「広域渋谷圏」で開発を進めているが、今後の展開は「都市型の商業、オフィス、住宅の再開発は着実に進行している。『働く』、『訪れる』、『住む』の3つが融合した街づくりを進めているが宿泊施設が不足しており、整備を進める」 

 例えば2026年3月に開業した「東急ステイ渋谷 恵比寿」は既存建物をリノベーションする「再生建築」の手法を取っており、今後も進めていく方針。 

 住宅についても分譲マンションの他、賃貸住宅、サービスアパートメント、さらには渋谷周辺で子育て中の家族や社会人がコミュニティを形成するような「コミュニティレジデンス」の事業展開も進める。「様々な方が住む渋谷らしく、いろいろな形の住宅を提供していく」 

 再生可能エネルギーへの取り組みに積極的だが、今は北海道石狩で再エネ100%のデータセンターを稼働させるなど取り組みを強化。 

 社内に向けては「仕事のやり方も事業モデルも、時代に合わせて進化させなければ衰退する」と危機意識を訴えている。

profile

たなか・たつあき 1967年5月東京都生まれ。90年慶應義塾大学商学部卒業後、東急不動産入社。2017年執行役員、20年取締役常務執行役員、23年取締役専務執行役員、26年4月代表取締役社長執行役員。