
有形インフラの寿命は?
埼玉県・八潮市の道路陥没事故が起きたのは昨年1月のこと。下水道管の腐食で道路の下には空洞が出来ていた。そこを多くの車両が通行していたわけだが、突如陥没して、トラックを運転していた男性1人が巻き込まれてしまった。
全国各地の地中に埋められている上下水道管の腐食が進む。
「明日は我が身……」ということが現実化。戦後の高度成長期に、上下水道管や高速道路などの社会インフラが急速に整備されたわけだが、21世紀に入って25年、ちょうど寿命を迎えているということ。
交通政策や国土政策に通じ、インフラマネジメントの第一人者とされる政策研究大学院大学名誉教授の家田仁さんは「つくられて約50年が経つ社会インフラの見直しは必須」と、〝50年〟がインフラ安全の大体の目安だと言う。
財政難の中で、どの社会インフラを優先して処置していくかという問題もあり、これは政府・自治体だけでなく、企業も個人も、つまり国全体で考えていかなければならない課題。
山間部では土砂崩れが頻発し、住宅が押しつぶされる。都市部では〝内水氾濫〟でマンホールのフタが弾き飛ばされ、水が勢い良く空中に舞い上がる光景も頻繫に見られるようになった。
家田さんは、「インフラ全般に関する政策の根本的転換が求められている」と語り、高度成長時代に、縦割り・個別主義で整備されてきた社会インフラを、DX(デジタルトランスフォーメーション)なども取り入れて、『総合的マネジメント』を進める時と訴える。
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そもそも社会インフラとは
そもそも、インフラとは何なのか? という素朴な問いかけに対して、家田さんは、「社会インフラは有形のものだけではなく、無形のものもあります」と言われる。
アカデミックな領域ではコモンズ(共同体)、社会的共通資本といった言葉で社会のあり方を考え直そうとする動きも出てきている。
「人がつくる制度インフラ、理念のインフラ、そして施設インフラなど諸々ありますが、自然と大地もインフラです」と家田さん。
人間活動の基盤となるものが社会インフラというのであれば、無形のものでは宗教や地域の祭り、伝統行事もインフラとなる。
人と人のつながりも含めて、有形・無形の社会インフラをどう再整備するかという今日的課題。リスクが高まる今の時代にあって、考えさせられる家田さんの社会インフラ論である。